[携帯モード] [URL送信]

Prisoner
33
SIDE.叶




あらら、バレちゃった……

「叶様…零に隔離命令が出ました」


零は理事長室にいるが抵抗するだろう…
壱縷は「心配はいらないと思います」と付け足した。











デイ・クラスの制服を身にまとい、坂野叶の姿になった。




「見納めって本気だったんですね」


壱縷は少し苦笑する。


「…なにか悪い…?」
「いえ! ただ…、『神崎咲夜』の姿に少なからず愛着があったので……
もう見られなくなると思うと少し寂しいですね、…と思っただけです」


可愛いことを言ってくれるッ


「くす、やぁぱり…わたし壱縷ちゃんに助けられてばっかり!」
「ちゃんづけやめてください」


顔を赤くして怒鳴る壱縷ちやんも可愛い…




「…本当に、どうかされたんですか?」


ホラ、敵わない…
わたしの動揺に、気づいてる


壱縷は表情の見えない長い前髪のしたから覗き込む




「……副寮長さん、咲夜がわたしってこと言っちゃったの」


叶は肩をすくめてみせた。




「ま、人間関係的には面倒だけど…
枢に見つかるよりはマシ」


ワザと砕けてモノを言うのは、恐れているから。
枢が私に気づくのは時間の問題で、拒絶だってされるだろう…

そして
ほんの少し期待してる自分―――




見つけて欲しくないと
見つけて欲しいと
正反対の思いを抱え…恐怖した。




今現在進行形で周りを囲んでいる無数の吸血鬼の気配がする…
復活する悪魔の気に引きずられながら集まる
黒い黒い…禍々しい気配たち


僅かな殺気が、徐々に強くなっていく…




「壱縷、わたしから離れないでね」


カチャ…

壱縷は閑が愛用していた刀を用意する




「さて、鬼退治にでも行きますかっっ」
「鬼退治、ですか」
「そ。ノルマはー…李土」

今、きっと前に進めてるのは


壱縷のおかげ

零のおかげ

英のおかげ

千里のおかげ

皆のおかげ…

皆皆、わたしを支えてくれた人たち…枢…、枢様も。



大好きな、人たち
大切な、人たちだから…

わたしたちは、騒がしくなった部屋の外に出た


[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!