Prisoner
01
「ただいま〜…」
叶があと三日で転入と言う頃だった
頼まれていたものを買ってから、家に帰っても返事が無い
裏の蔵だと思い、なんの疑いも抱かずにわたしは裏にまわる
「おじさまー! おばさまー? 」
蔵に近づいても返事は無い。
…無性に嫌な予感を覚えた
なんで今まで気づかなかったんだろう…
「おじ…ッッ?! 」
角を曲がると、同い年くらいだろう少年二人。一人は刀を持っていた。
そして、彼らが誰なのか、人目で分かった。
ナイト・クラスの人間。 =吸血鬼。
人を魅了する、魅惑の外見……
「嘘だろ、見られた? 」
そんな事を呟いている。
足元には、おばさまとおじさまの血まみれの姿。
二人に近づくと、意識もあるし、生きてると確認できた
………けれど、
「ば…けもの……?! 」
「ぁぁ゛っっ!!!!! 」
生命の鼓動が薄れてきてるし……、ここで救急車を呼んだところで意味が無い。もう、出血多量で死んでしまうだろう…
ナイト・クラスだから枢のことを知ってるだろうが、
今の私では絶対分からないだろうと思い、彼らを見た。
彼らは私を睨んでくるが、そんな視線は無視
「ごめんね……
おばさま、おじさま……」
彼との約束なの……
今は誰にも知られてはいけないの。
吸血鬼は…
そして
用心棒で持っていた拳銃の銃口を、二人の心臓にあてる
「―――バイバイ
……ありがとう……」
嗚呼
どうして気づかなかったんだろう
どうして忘れていたんだろう
わたしは、吸血鬼を引き寄せるのに…
…一粒……二粒………三粒
彼女の頬に、涙が伝う―――。
も う 後 に は 戻 れ な い …
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