[携帯モード] [URL送信]

屑+細+没
Xゴミ箱の矜持
一番不幸でいたかったな。街には闇が充満していて、誤魔化すように灯りが散りばめられている。腕引く女に笑顔で断る。ごめん俺人待たせてんだよねーうん、カノジョ。ヒラヒラ手を振ってさよなら。あの子達が蝶なら羽ばたいて行けるんだろうか。夜に舞うならそれは蛾なんだろうか。朝にはひっくり返って動かなくなっているんだろうか。誰かを殺害した記憶と言うには曖昧な位の罪の意識を手繰り寄せている。死んだ心は誰だ。額の奥底が痛むのは俺のせいじゃない彼奴が針を突き刺して内側から掻き回してすっかり朝になってしまうのだ。

「…デンバット」
「お前のせいだよポーフ」

俺を待っていた男は出会い頭の言葉に困った様に笑っている。フリだ。つまり俺を取って食おうと爪を研いでいて、俺は逃げなくてはいけないのだが脚が腐って片端から崩れ落ちてしまうから動けない。ポーフはゆっくり言葉を吐き出す。吐き出した側から絡み付いていく。

「ごめんな。また殴っても、良い?」

何故謝るのか。何故飢えるのか。何故戦争は止まないのか。何時だってサイレンは鳴っているが誰も気付かず日々上乗せ上塗り、回り回って倒れてしまうだけだ。

「ポーフは、何が好き?」
「無味乾燥な有象無象。及び修正液」

大きく広がった暗闇に食べて終われない様に俺は息を吐き出して抵抗する。飲み込まれたら終わりだ。二度と輝けない。

「俺を消せると思うなよ」
「その点は大丈夫。お前次第」

何時からこんなに汚くなったのか。すでに乾燥している地盤は危うい。ポーフの手が俺の胸元に延びて、ネクタイを掴んで引き寄せた。
もう何も言わない。俺は一切の抵抗を投げ出してこいつの腕に従うだけだ。この夜が白むまで。こいつの闇が姿を隠すまで。途中心臓麻痺か何かで死んだって、致し方の無い事である。




捌け口ちゃん



[*前][次#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!