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屑+細+没
kご機嫌とり
「紫苑くんはほんといい子だね!」
誠一さんは澄んだ笑顔を僕に向ける。
「何でも話聞いてくれるし、相談乗ってくれて助かるよ」
「そうですか、それは良かった」
じゃあまた、と言って誠一さんは駆けて行った。後ろ姿を見送った僕はそのまま立ち尽くす。
干渉できるなら他者本位が何より。相手の話をひたすら聞いて、相槌や意見の装飾品を付けてやる。そうすれば「いい人」扱い、当然だ。人の事をよく考えられる人。こうして今の僕の立ち位置は築かれている。
本音なんて言える訳無い。そもそも行動の元になる考え自体嫌らしい。君が知ったら余りの汚さに失望する。貴方に抱かせたイメージは僕の芯から程遠い。
だから僕はひた隠す様に貴方にばかり触れる。僕はどうでもいい。どうでもいい事ばかり。
(ねぇ、悲しい事があったんです)
気分悪くされたら嫌だから言えなくて。
(ねぇ、嬉しい事があったんです)
きっと興味無いだろうから言えなくて。
本当はもっと言いたい事あるんです。でも波風立つ位なら言わない方がましです。
何処かに行かれちゃ嫌だから。好かれていたいから。
(僕は、僕は僕は僕は僕は…)
僕しか知らないいじらしさ。
さあ、僕の方が可哀想と言え。



腐った自己愛

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あきゅろす。
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