屑+細+没
Xただひとつ残された恐怖
「俺が死んだら泣いてくれるか」
「…当たり前だろ」
「そうか」
なら良いや、それで。
組織を無くしても、命を無くしても、お前が俺を想ってくれるなら良いと、思った。
――なのに。
そう思ったのに、何てことだろうか。
「ポーフ!!!」
必死の呼び掛けに応えたのは虫の息。
掻き消す雑音。飲み込まれる命。
ああ何てことだろうか。
俺は凍り付く。たった一筋の希望すら砕かれてやっと気付いた事実。
背筋を駆け巡るのは恐怖。ひたすらな恐怖。
これでは俺は―――
「どうせ」
「君の帰る場所はもう無いんだ」
(一人ぼっちではないか。)
ただひとり遺された恐怖
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