屑+細+没
X潰す紅
「あったけぇ…」
「そうか」
「でも」
「、」
「ミイネと抱き合ったらもっと幸せだろうな」
「…そうかよ」
「…好きだ」
「俺はミイネの方が好き」
「…」
(いつも)
(俺の気持ちは殺される)
「男なんかと本気で付き合う訳ないだろ」
彼はヘラヘラと笑って居る。俺は先程から立ち竦む以外の動作の仕方を忘れて終って居る。
解って居るのに何でだろ、ああ、どうしようもない事はあるものだ。俺の目の前を塞いでいるのだってその産物なのだ。
「…雨が降ってきたな」
「?気のせいじゃねぇか」
運命が傾く日が訪れた。
俺はその日を恐れて恐れていたけれどデンバットにとっては軽い事なのだった。
「何時まで続けるんだ?」
この関係。せめて繋がれるならそれで良いと思って居た、しかし触れれば触れる程愛しくなった。
彼が欲しくて欲しくて俺は行為の度執拗に彼の皮膚に鬱血の痕を残したけれど彼の心には何も残せない。その証拠に三日前の印は跡形も無く透き通って居る。
「俺としては」
だから俺はその日を恐れて恐れて恐れていたけれど俺がどれだけ部屋で喚いて毛布を引き裂こうとその日は訪れた。
「もうそろそろ終わりにしても良いかなって」
お前は?と悪意無く首を傾げる彼の肌は白いのだ。透き通って居るのだ。
(無理だ、消えて終う)
「…もう少し続けても良いんじゃないか」
俺は臆病な乱暴さでデンバットを抱き寄せると肩口に歯を立てる。
彼の白い肌を紅くする事ばかりを考えている。
「告白しようかなあ」
「ミイネにか」
「ホント…好きなんだよ」
「…そうか」
俺はその日を恐れて恐れて恐れて恐れて恐れていたけれどデンバットの肌には所々俺が散らした痕がくっきりと付いている。
だからまだ大丈夫、多分大丈夫。
唇に軽く口付けた。
(大丈夫)
(何時まで大丈夫?)
消えません様に。
お前に残した俺の全てがどうか消えません様に。
幾ら祈っても白紙に戻る悪い夢を見るんだ、俺はそれを恐れて恐れて恐れて恐れて恐れて恐れて恐れて恐れていたけれど
無慈悲にもその日はやってきた。
「終わりにしよう」
「付き合う事になったんだ」
はにかむ笑顔、これから彼の居場所は俺の隣ではなくなる。いや最初から隣になんて居なかったのだろうか。結局彼の中に俺は1ミリも残らず、跡形も無く消えて終ったのだった。
(消えて終う)
遠ざかる。
白に潰される。
同化して透き通る。
「デン…バット」
延ばした腕を苛む空気は冷たい。夜毎感じていた温かさは何だったのだろう。
俺は彼を、だってこんなに、あ、あ待ってくれデンバット、
(残したい)
(永遠に。)
左手に辛うじて残るのは鋭利な手段。
彼の白い肌を紅で染める事だけを考えて居る。
ぶすり
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