夏の終わり 夏がそろそろ終わる。 涼しい風が頬をなでた瞬間にそう思った。 「タカ丸さんは、どの季節が1番好きですか?」 「んーそうだねぇー、冬かな!」 「冬、ですか。寒いだけじゃないですか。」 「そうー?寒ければ好きな子と手をつなぐ口実になるよ」 そう言って、綾部の手をとるタカ丸。 「……口実なんていらないでしょう。」 「あはは、そうだね。僕は夏でも秋でも、春でも綾ちゃんと手を繋ぎたいもん」 「私は、春が1番です。穴を掘るのに最適な季節ですからね。」 「あはは、また穴掘りのことばっかり」 (たまには僕のことも考えて?) なんて、口に出したら鋤でどつかれるはずだ。 「じゃあ、花見をしましょう。春らしく。」 「お花見?」 「そうです。私が穴掘りをして、タカ丸さんが桜を見ればいいのです。」 「それって…」 「立派な花見です。」 「あはは、それもいいねぇ」 それは、僕が君の隣にいても良いってことなのかな。 ―END― 自分は秋と冬が好きです。 |