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進撃の巨人
3話【涙が出ない】

本来、調査兵団に入る前には、訓令兵団での訓令期間を有する訳だが――
「訓練兵団として壁外にも行くの!!?」
ウィルは少し事情が違った。

驚きの声をあげるぺトラに対し、ウィルはあくまでも冷静に頷く。
「訓練兵団って言っても・・・・・・中途半端な時期だから一人だけ、らしいですけど・・・・・・」
先ほどエルヴィンに言われた事を思い出しながら言うウィルに、内心関心しつつ、ぺトラは思い出したように尋ねた。
「そう言えば体は大丈夫なの!?」
慌てたようにウィルの体をぺたぺたと触るぺトラ。
「もう大丈夫です・・・・・・多分?」
他人事のように言いながら、ぺトラの横を歩いて行くと、一つの部屋の前で止まった。

「この部屋を使っていいって。分からない事があったら何でも聞いてね」
おやすみ、と付けたし、ぺトラは部屋を後にした。

ベッドの横にある窓を開けて外を見ると、そこには今までとは全く違う世界が広がっていた。そのままベッドに倒れ込むと、忘れていた痛みが再び騒ぎだす。着ていたYシャツを脱ぎすてて自分の体を確認する。何重にも巻かれた包帯が傷の深さを物語っていた。

――シヴァおばさんは・・・・・・もっと痛かった・・・・・・。
思い出すのはあの時の事ばかり。
「涙が出ない・・・・・・」
冷たい風を体に受けながら、ただ静かに外の世界を眺めていた。

















「何考えてやがる」
ウィルがぺトラの後に続いて部屋を出たのを見ると、リヴァイはエルヴィンに声をかけた。
「気にならないか?彼女の事」
「・・・・・・あぁ。確かに偶然にしちゃあ出来過ぎている」
うなじが巨人の唯一の弱点である事を知らなかったと言うウィル。しかし彼女は巨人を殺した。
「エレンの話によると一切の迷いもなく巨人のうなじに回ったそうだ」
「とんでもねぇ事だな。最近のガキ共は死に急ぎ野郎ばかりなのか?」
嘲笑うように言うと、茶の入っていたカップを置いた。
「それにアイツ・・・・・・俺に食いついて来やがった」
自分に鋭い眼光を向け、外の世界に飢えた眼を持った少女。
――悪くない。

「ウィルの身柄はお前に預ける」
「またガキのお守りか。・・・・・・クソめんどくせぇがやってやる。どうせ拒否権はねぇんだろ」
































長い事風に当たっていたからか、自分の体が冷え切っていた事に気づく。大きく開いていた窓を閉め、布団の中に潜り込んだ。
――埃っぽい・・・・・・。
慣れ親しんだものとは異なるニオイを感じる。

「やっぱり・・・・・・シヴァおばさんの布団がイイ」
その一言に対して、返ってくる言葉など当然なく、急に、もの悲しさを覚えた。
――寝よう。
自分の中でシヴァという存在がどれだけ大きかったのかを実感しながら、深い眠りへと落ちて行った。

































































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