[携帯モード] [URL送信]

進撃の巨人
10話【言って来るね。】

調査兵団団員が一堂に集結する。馬に跨ったその表情からは、緊張と決意の色がうかがえた。――壁外調査の日。

リヴァイ班に所属するウィルはエレンの隣で馬に跨りフードを深くかぶっていた。
―――ギャラリー多っ・・・・・・。
人類最強として有名なリヴァイが多くの視線を集めるため、近くにいるウィルにもそれ相応の注目を浴びてしまうのだ。

「緊張するか?」
不意にエレンが口を開いた。視線を横に映すと、意志の強そうな瞳と目が合う。
「緊張・・・・・・と言うか、視線が痛い・・・・・・」
辺りをうかがうように目を動かしたウィルは、若干引きつった表情になる。
「英雄の凱旋だからな。壁の外に出ちまえば視線なんて感じないさ」
「そう、だね・・・・・・」
周囲を見るためにキョロキョロ動かしていた視線を、前方の大きな壁に合わせる。
―――自由な、世界・・・・・・。
小さい頃から憧れ続けてきた壁外。それがもう、眼前に迫っているのだ。

ウィルは静かに両目を閉じ、今回の作戦内容を思い返した。

この壁外調査での最重要事項は拠点の確保。前回の壁外調査で発見された古城を拠点とするために、実行班が古城の整備を行う。その他の班は探索班、警備班に分かれて作戦を行うのだ。探索班は付近に接近した巨人の位置を煙弾によって伝える。警備班は巨人を発見、又は煙弾を確認したら巨人の駆逐を行うのが役目だ。

リヴァイ班は腕が立つ兵士の宝庫なので警備班として任務にあたる。言い換えれば最も命を落とす可能性が高い任務だ。求められるのは、冷静な判断力と巨人を倒すための絶対的な力。そして巨人と対峙しても恐れる事のない――強い精神。経験こそ少ないものの、その全てを兼ね備えた少女は、ゆっくりと目を開いた。

「おいテメェら」
聞きなれた声の方向に、視線をうつす。
「覚悟はいいな」
「はい!!」
「勿論、です!」
手綱を強く握りなおし背筋を伸ばした。
―――シヴァおばさん・・・・・・行って来るね。

「前進せよッッ!!!」


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!