[携帯モード] [URL送信]

FinalFantasyT
29.いつかの涙

優羅たち光の一行はヤヌスを抜いた四人で情報収集を行い、宿に泊まることにした

結局ヤヌスは飛空挺の番をすることになり今は飛空挺にいる…


『さてと…今日集めた情報を整頓しようか…』


優羅はメモ帳を取りだし集めた情報を整理し簡潔に要約させまたメモ帳に書き込む…


慣れてしまった一連の動作は彼女が長い期間この世界にいることを知らせていた……


パチッ…と火が爆ぜる音が聞こえる…


ガイアの町の夜は思ったよりも冷えるため、宿主から暖炉を使うようにと言われていた


もう既に暗くなった窓から覗くのは元居た世界ではあり得ないほど大きい月…


『もう…半年か…』


気がつけば時はあれよあれよと進んでいきもう半年を過ぎていた…


未だに、帰れる宛はない…


『はぁぁー』


「ため息をつくと幸せが逃げるぞ…」


『のぉう!!!』


 いちいちビビらせんなよ!


そう思うも、言えば何かしら追撃がくるので止めておく…


後ろに居たウォーリアは少し眠そうな目をしているが、恐らく疲れているのだろう…


 まぁ。あれだけの女性に黄色い声を浴びせられたら疲れるよな普通…


「どうだ?情報の方は…」


『んー。今のとこは100年前に銀の竜がここの地方を焦土に変えたってことくらい?』


「原因は?」


『それが分かんないんだよね〜。住民が言うにはバハムートを怒らせた罰だって言ってはいるけど…』


「…バハムート?」


バハムートとという言葉に首をかしげたウォーリアに優羅は簡単に説明する


『幻獣っていう一族…その頭領ってことかな』


「そうか……」


ウォーリアは分かったような分からないようなあやふやな態度をとっていた…


『ま、実際に会えばわかるさ…』


「……ずっと思っていたが、優羅はヤヌスと同じくらいに博識なのだな…」


感嘆の声をあげるウォーリアに優羅は照れたように頬をかく


『ははっ、照れるなぁ…』


「…もう寝ないか?夜が更けてる」


そう言われて窓を見ると、月は先程よりも傾いている……


時間からして、恐らく一時だろうか…


『そうだね…もう寝ようか』


そう言って優羅はパタリとメモ帳を閉じる


ベッドに潜り込むと、ウォーリアも同じようにベッドの中に……


いや決していかがわしいことなどありませんからね!!!


絶対に!!


 ……?何か誰かが何かを凄い否定してる気がする


「どうした?優羅」


『……何でもない』


そう言うと優羅はウォーリアの腰に抱きつく形で眠りにつく…


ウォーリアの方も抱き込む形で眠るため
まぁいかがわしくないとも言い切れないが…


優羅にとっては普段甘えられない分甘えたいのだろう


ウォーリアの方もそれを嬉しく思っているため拒絶するようなことはまずありえない


かといって手を出すことは絶対に無い
あの光の戦士さんですからね


それでも、二人の恋愛は他の人のそれと比べるとかなり薄いようにも感じるが
それが、二人にとっては満足のようだ…


そうしていると、ウォーリアはふとあることを思い出す


「優羅最近は調子が良いようだな」


『え?うん…まあね。ウォーリアのお陰かもしれない』


「私の…?」


不思議そうに答えるウォーリアに優羅は微笑みながら言う


『うん…だって、ウォーリアといるとヤな夢見ないんだもん』


優羅は眠いのか少し舌ったらずな喋りで答えウォーリアの胸に顔を埋めた
暫くすると、寝息が聞こえてくる…


「そうか……」


 私は…君の役に立っているのだな


ウォーリアはクレセントレイクでの彼女の涙を思い出す…
知らないなにかに怯え、恐怖し泣きじゃくる姿は普段の彼女からは絶対に見られない「女性」としての姿があった…


あのときから、只の恋慕から命を懸けてでも守らなければ…という想いに変わっていたのかもしれない


……彼女の場合は守らなくても十分生きていけるが


いや…だからこそ、一人で突っ走り自分を犠牲にしてしまう
そんな性格だからこそ、ウォーリアは守りたいと思ったのかもしれない


「おやすみ、優羅」


ウォーリアは優羅の額に軽い口付けを落とすと眠りにつく


月は只静かに二人の姿を照らすのだった…




続く




[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!