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FinalFantasyT
26.氷の山



『ここが……。氷の山?』


飛空挺を手に入れるため、飛空石を探しに光の一行は氷の山に来た。


「これ完全に氷が山になってるわ……」


「岩らしいとこ何処にもないね…」


「ここにはとてつもなく危険なモンスターが居ると書いてあった。気を付けた方がいいかもしれないぜ」



「そうか」


『たしかそいつはマインドフレイアっていうモンスターだったな』


 即死攻撃が得意な初見殺しのモンスターだったはず……


 まぁ、初見じゃなくても殺られるときは殺られるけどさ…


「皆…行こう」


一行はマインドフレイアと出会わないよう、極力戦闘を避けてなんとか頂上までたどり着いた。


といっても山の内部だか…(それは頂上って言わない…)


『…………寒い……早く帰りたい…』


山の内部…しかも、どこを見ても氷氷氷………
見るくらいなら…綺麗だ…………



見るくらいなら………な。




「確かにモンスターよりこっちの方がかなりキツいわ……」



防寒具は着てきたが、あまり意味をなしていないようにも感じる………。


「フ…ファイア…」


寒さに耐えきれなくなったサルテはなんとか暖まろうとファイアを唱える…


ポッ…………ポシュ……


しかし、サルテのファイアは寒さのせいか直ぐに消えてしまった。


「さ、寒すぎてサルテのファイアが使えないなんて今までなかったんじゃ……」


がくりと項垂れるヤヌスにウォーリアは仕方がないと首をふった。


「ここは気力で何とかしないといけないな……」


『最悪だぁ〜』


寒さが苦手な優羅はウォーリアのその言葉に悲痛な声をあげたのだった…






そして彼女は忘れていた…







このまま先に進めば…あの鬼畜なボスモンスターと出会うことになることを………。







[ワタシノネムリヲサマタゲルノハ……ダレダ…]


『…………忘れてた。そういやこいつが居るんだった…』


見た目黒魔道師……そして何故かマリリスより強いと言うボス“ブラックウィザード”が…


今、目の前にいる………


後ろの部屋にある飛空石を手にいれなければいけないため、あのブラックウィザードとは嫌でも戦いになる…


『面倒だけどやんないとな……』


「ついに本音が出たわね…優羅」


「もうすこしの辛抱だ……」


「頑張ろ?優羅」


「無理しない程度にな?」


『何か私だけ駄々こねてるみたいなんだけど!!』


「そうにしか聞こえないわ…」


『NOぉぉぉぉぉー!!!』


寒さのせいか、少しテンションがおかしくなっている優羅なのだった……


ブラックウィザードは優羅を一目見ると驚いたように声をあげた。


[……!オマエハ…マサカ…イキテイタノカ……No.Ω(オメガ)……]


その言葉は、優羅に向けられた言葉のようだ……


『は?今……なんて…』












「Ω………ほら、今日も勉強しようか?」


『うんっ“お父さん”』









ズキィッ!!


『っ!!な、今の…』


「大丈夫か?優羅」


痛みで頭を抑える優羅


心配するウォーリアに大丈夫だと伝えると。ブラックウィザードに向き直る。


『………どんな人違いか知らないが、私は優羅という名前がある!Ω(オメガ)じゃない!』


優羅はウィザードにそう言った。


先程見えた映像を頭のすみに追いやって……




[ソウカ……ナラワタシとタタカエ!!]


『いやまて!話の内容すっ飛ばしてないか!?』


いきなり戦えといわれ、五人は武器を構え戦闘体勢に入る。







そしてブラックウィザードとの戦闘が始まるのだった……








…………………



ブラックウィザードとの戦いはいまだに続いている。


もう既に空は星が瞬く時間になっているだろう。


しかし、五人はウィザードの魔法に苦戦し、なかなか決定打を与えられなかった…。


キイィィィン…


≪お父さんをっ!!誰かお父さんを助けてっ!!≫


≪黙れっ!!国を消したバケモノの分際でっ≫


 !?なんだっ?今の……


ゴォッ……


『………っ!!』


いきなり視界が歪み、またあの映像が一瞬だけ見えた。


その映像に気をとられ、優羅はウィザードのファイガをもろに喰らってしまった。


『カッ…ぁ……』


その勢いで壁まで飛ばされた優羅はそのまま壁に激突し、倒れてしまう。


「優羅っ!!」


ウォーリアは慌てて優羅のもとに駆け寄るが、既に気を失っているようだった…


「優羅は大丈夫なの!?」


リースたちもウィザードとの戦闘をしながら優羅が無事であることを確認すると。


「よくもやってくれたわね!優羅を傷つけたこと後悔しなさいっ!!」


リースは声を荒げウィザードにそう言った。


「こてんぱんにやっつけてやる!」


サルテもロッドをウィザードに向け、珍しく怒っている


「サルテ。いつになくやる気じゃねーか、よーし、俺もいっちょやってやる!」


ヤヌスはサルテにのるように言ってはいるが、ピリピリと鋭いオーラを放っていた。


「ブラックウィザード……よくも優羅を傷つけてくれたな………」


ウォーリアなど全身から叩き潰すオーラを放っていた。


[フフフッ……スカレテイルノダナ……アイツハ…]


そんなウィザードの声は四人に届くことはなかった……







………優羅……優羅……




 何だよ……………わざわざ気絶させてまで………何をしたいんだ?アンタは…




ワタシはかつて…この世界で大きな戦争があったときに産み出された存在だ………




 !!!なんだって!!どういう事だよ!?
………て驚く前にかなり話をとばしやがったなと突っ込んでいいか…?


そのままの意味だ…………(おい、話聞いてんのかよ…)
しかし、ワタシはこの世界が闇におおわれたとき…その力に呑み込まれてしまった………(無視して話を進めんな!……まぁいいか…)






 ………それにしても、そうだったのか…………でも…じゃあなんで………?





チカラが………暴走したのだ…もう、壊れるまで止まらない。





 それで…わざわざ戦いを挑んだのか?





壊してくれると………思ってな………
先程の事はすまなかった……。
本当に、仲間から好かれているのだな…お前は……







 アンタ……誰なんだ?私は……アンタの事……知らないんだ…………?




 しら……ない?いや、知ってる…この感じ…





 でも思い出せない………





そうか、記憶が…………いや、あんな記憶など
…………無い方がいいのかもしれない






 記憶………………?なんの事だよ!?
あの変な夢も記憶だって言うのか?
私は………ここで、この世界で生きていたのか?
でも、それじゃあ向こうの家族は?それも夢幻(ゆめまぼろし)だって言うのか…?







………お前が何故生き、そして記憶を失っているのかはさだかではない。






 …………。








しかし、お前が言うようにここではない世界で生まれ変わったのなら………ワタシは一つだけお前に言いたいことがある。







 生まれ変わったとか言ってねーんだけど………






フッ…まぁ気にするな。







 気になるわっ!








……………もう…時間か……………
達者に暮らせよ………。Ω(オメガ)……………じゃなかった…優羅……だったな。




 まっ、待てよ!アンタの名前は………





ワタシか…?ワタシは…………







Φ(ファイ)…………だ…






 Φ(ファイ)!!お前も、えーと……元気でな!





……!………やはり…変わってないな………
なぁ、優羅……………………





 ………どうした?




化け物になったワタシを壊してくれて、有り難う…




 それは…………ウォーリアたちに言いなよ…




そうだな………お前から伝えておいてくれないか?




 あぁ…まかせとけ…

























ブラックウィザードを倒し、飛空石を手に入れる頃には、優羅は目を覚ましていた……



『ウォーリア……悪い。また……』


「気にするな…困ったときはお互い様、だろう?」


「そうよ…あんまり無理しないでね……」


『ウィザード…は?』


「もう倒したよ?……どうか、したの?」


 そっか………もう、居ないのか………


『いや…何でもない…。飛空石が手に入ったんなら…次は…砂漠に行かないとな…』



そう言って立ち上がろうとする優羅だったが、壁に激突した衝撃がまだ残っていたようでそのままくずおれてしまう。


ウォーリアはとっさに優羅を支え、座らせた。


「無理はするな。痛むところはないか?」


『……あ、そういえば………どこも、痛くない…』


ウィザードが治してくれたのだろうか…


『そういえばさ…あいつ、死ぬ間際にお礼…言ってたよ………』


「あいつってウィザードの事?」


そう質問してくるリースに、優羅は微笑みながら頷いた。


『あぁ…。自分を…壊してくれて有り難う……だってさ』


「そうか」


「辛かったんだね………きっと……」


『サルテ…知ってたのか?』


サルテのその言葉に優羅は驚いて聞き返すが、サルテはそれ以上答えることはなかった…


「取り合えず………さっさとここから出ようぜ?もう寒くて寒くて………」


『プッ…おいおい…ヤヌスっ…それは…流石に…』


大袈裟に体を震わすヤヌスに優羅は吹き出してしまい、しばらく笑いを堪えて肩を震わせていた…。


「ま、一通りやることはやったし…クレセントレイクに戻りましょう?」


リースのその言葉に一行はクレセントレイクへ戻るのだった。




≪ふぁい………さよなら…元気でね≫



≪あぁ。行ってくるよオメガ…達者でな…≫




続く…

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