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FinalFantasyT
20.シラナイセカイ


 …………ここは、どこ?


優羅が目覚めた場所は、液体の入った水槽のような場所…


目の前にいる人たちは彼女の知らない誰か…
彼女を見ては何やらしきりに喜んでいるようだった。


「…………の………………は………」


 ………あの人たちは…ダレ?


「なんて…だ………れ……なら……のくに……」


 何で私は縛られているんだろう?


 身体中が痛い……


彼女の体には何やら拘束具の様なものが付けられ、鈍い痛みを与えていた。


 機械が…いっぱい置いてある……


 ……研究…室?


「何をいっているんですか!!この子はまだ不完全なんですよ!?」


 フカンゼン…?


「何をいっている。これだけの成果をあげて不完全とは……十分すぎるほどだ」


優羅を見て喜んでいた男はそう言うと彼女のいる水槽にてをかける…


「ふふふふ…壊れればまた新しいのを作ればいいではないか……披検体はもう一体居るだろう?」


 …ヒケンタイ?それは…私のこと、か?


水槽にてをかけた男とは別に白衣を着た男は酷く怒ったように何かを喋っている…


しかし、彼女の意識はもうなくなりかけていた…


そして意識が完全に途切れる瞬間……


男は彼女を見て笑いながら言った。


「こいつはどんな兵器よりも素晴らしい……」





「バケモノだからな……」






『っ!!!』



ガバッ!!



目が覚めた場所はクレセントレイクに向かう船の中。


眠ってからそんなに時間はたってないようで、船の窓から覗くと外はまだ暗い…


『………夢…か…』


 まぁ…夢にしてはやたらと現実味のあるものだけどな(怒)


どうしてか、あの白い世界に行った後毎日のようにこのての夢を見ていた…


全く身に覚えのない。誰かの記憶のような夢を…


『あー夢見悪ぃ…』


そう言って、優羅は伸びをすると船の甲板へ出た。






『………あ、ウォーリア…』


優羅が甲板へ出ると、すでに先客がいた。


「………ん?優羅か?」


『あぁ……お前、どうしてここに?』


驚いてそう聞くと、ウォーリアは少し困った顔をした。


「それはこっちの台詞だ……。何か、あったのか?」


『んー、夢見悪くて風に当たりに来た…ってとこかな?』


優羅そう言って、頭をかく…


「悪い夢でも見たのか?」


『ん、そんなとこ…』


優羅はそこで話を切り上げると、甲板から空を眺める……


空には、向こうの世界ではあり得ないくらい大きな月が二人を照らしている…


『綺麗だな…』


「……あぁ。そうだな」


二人は暫くそのまま空を見ていた。


少し冷たい夜風は、嫌なことを忘れさせてくれるようで…


ついさっきの夢なんてどうでも良くなってきていた……


『……。そろそろ寝ようかな…』


優羅は一度大きく欠伸をすると、寝室に戻ろうと歩き出す…


「あ……優羅」


『ん?』


呼び掛けられた優羅は立ち止まって振り返る。


呼び掛けたウォーリアの方は何やら言いにくそうに頬を掻いている…


『どうしたんだよ?』


「……。何かあったら言ってくれないか?私は、君の助けになりたい…」


優羅を見る瞳は強く、そして何より美しく見えた。


 言えたら…苦労しねーよ……。


優羅は微笑み、後ろを向いてなにも言わずに手を振った。


大丈夫だ。という意味を込めて……。


「………」


優羅が戻り。甲板にウォーリア一人になると、ウォーリアは手すりに体を預けため息をついた。


 優羅のことを考えて眠れなくなっていた……など言えるわけがない…。


まぁもちろん、そんなウォーリアの心情など当の優羅には分かる筈もなく……


寝室に戻った優羅は普通に眠っていた…








目が覚めれば、次はクレセントレイク…






続く











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あきゅろす。
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