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FinalFantasyT
17.見知らぬ世界

『・・・あれ?』


 ここ、どこだ?


『確か、急に息が出来なくなって。身体中痛くなって…苦しんでたらウォーリアが私のことを抱えて町に行こうとしたんだよな』


 それから直ぐに、私は意識を失った筈………


『何でどこもいたくないんだろ?』


 ハッ(゜ロ゜)!まさかっ。ここが天国!?


『って違うか…』


そうやって寂しく一人ノリッコミをしていたが現状が分からないうちは行動するのもどうかと思った優羅は周りの状態を見て唖然とした。


何も…………………無い。


目の前に広がるのは白…………………


後ろを見ても上を見上げても、そこにあるのは白。


ついでに言えば、自分の足元も白。


『何処なんだよ………ホントに』


 ……?


 違う………


 私は此処を………知ってい…る?


 そんなはずない…此処は知らない…


 でも、懐かしい……


『何なんだよ……ホントに…』



本当に目の前が真っ白な状態では、動くこともできない。


そうして途方にくれていたとき…………………


誰かの声が聞こえた…………………


(…………………。優羅)


『………え?』


(優羅………優羅!)


 この声…………………


『ウォーリア…?』


聞き覚えのあるその声はなおも彼女の名を呼び続ける…………………


何度も、何度も…繰り返し。


『っ…………………ここだ。ここだよっ!!ウォーリア!』


優羅は喉が割けるのではないかと言うほどの大声で叫ぶ。


しかし、その声はウォーリアに届いていない様だった。


それでも。優羅は叫び続ける。


この声が、少しでも届いてほしいから………





…………………もう、どれくらい経っただろう。


叫びすぎたのか、喉からはかすれた声しか出なくなったいた。


 寂しい…………………会いたいな。ウォーリアに…………。


ウォーリアだけじゃない…リースにもサルテにもヤヌスにも会いたい…


言ってしまえば、この世界はまるで檻のようだった。


逃げることもできず…只、そこに居ることしか出来ない。


真っ白な………檻…


『どうやったら。戻れるんだろう…』


 早く戻って、他のカオスを倒さないと……


そう思えば思うほど焦りは強くなり、何も出来ない自分に嫌気が差してくる。


そんな自己嫌悪に陥ってもどうしようもないというのに…………………。


優羅はとりあえず自分を落ち着かせるために歌を歌った。


歌と言っても只のFF1のBGM……


それに簡単に歌詞をつけたもの。


希望を持ちし戦う人よ

いつかは叶う夢を掲げて

己の心今問い掛けよ

夢に向かうその先の道を



進む道の先に

真に

光る未来がある


<……………………………………>


歌ったところで何かしら変わるわけではないと思っていた優羅は突如聞こえたウォーリアとは違う誰かの声に硬直する。


『…………………誰?』


<聞こえますか?優羅……………>


『何で…名前を…………………』


 それに…………………この、声は…!


<ごめんなさい。貴女をこんなところに連れてきてしまって……。直ぐにでも帰りたいでしょう?>


声は、謝った……自分の罪を悔いるように……


『それって、私が今いる「ここ」のこと?
それとも…………………ウォーリアたちが居る世界?』


<どちらも…………………です>


そう答えた声はとても辛そうな声で続けた。


<私は…………………貴女にこれ以上。辛い思いを……してほしくない……>


『連れてきたくせに言ってんの』


<っ!そうですね…………………。全ては私の過ちのせい……>


『でもさ、お陰で何かと楽しめてるよ。確かに辛いこともあるけど………。それでも、皆と居たい。ウォーリアたちが居る世界に………戻して、くれないかな?』


<!?何故?貴女はここに来たくて来たわけではないはず…………………>


『確かに、最初は何で自分がって思ったよ。………でもさ。皆と一緒にいて、旅をして。戦って、笑い合って…………………』


『そんな日々をあの世界から無くしたくないんだ。私は皆に笑顔でいてほしい、その為なら何だってするよ』


<…………………強い子に、育ちましたね。私は、貴女に何も与えられなかったのに…………………>


『?!どういう…………………』


<もう、時間です。頑張って、けど…………………>


<無理しちゃ、ダメよ…………………>


『!!!っ!待って!貴女はっ!』


<また会える時を待っているわ……………………愛しい、私の子………>


最後に見えた見覚えのあるシルエットに優羅は駆け出して手を伸ばし叫んだ。


『待って!母さんっ!』


ガバッ―


『…………………あ、ここは』


気がつくと、そこは見覚えのある宿………


窓を見ると。朝日が出かかり薄紫の空に黄色く輝いていた。


『………ぅ、だるい……』


安心したせいか、急に体が重くなる。
その時、自分の右手が誰かに握られているとこに気がついた。


『ぁ…………………ウォーリア……』


そこには、優羅の手を握ったまま寝息をたてるウォーリアの姿があった。


『……ごめんね。心配、かけたよね?…でも、もう、大丈夫だから………………』


優羅はそう言いながら、自分の左手をウォーリアの手に重ねる………


知らず知らずのうちに、優羅の瞳からは涙が零れていた。


『ごめんねっ………ウォーリア……』


 ウォーリア、私は貴方の事大好きだよ。


『………………………だよ。ウォーリア』


 大好きだよ。ウォーリア……


優羅はそうっと、起こさないようベッドに横たわった。


 もう暫く、寝てようかな…………………


そう思いながら、静かに優羅は眠りについたのだった。


大好きな貴方に、希望の光があらんことを…………………


続く…………………



______
あとがき

何故か居ないはずのお母さん登場。

結局ヒロインはウォーリアの事好きだって事を再確認しました。(何故?)

この「白い世界」実はこれからの物語に結構重要な意味を持っていたりいなかったり…(どっちだよ!)

一応まとまりあるように書きます。









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