FinalFantasyT
4.姫を助けに…………………
『それじゃあ城に向かおう』
優羅は城を指差しそう言うが、四人は不思議そうな顔をしている。
『?どうかしたのか』
「どうかしたじゃなくて。何で城に?」
確かに、リースの言うことはもっともだ。ガーランドを追いかけた方がいいのは重々承知している。
しかし―
『そりゃ、王様にさっきの誘拐事件の事を聞いとかなきゃいけないし。もうコーネリアを出ていると仮定したら当てずっぽうで探すより可能性のあるところを探した方が直ぐに見つけられるだろ?』
そう言うと、四人は納得したように頷いた。
「そうだな」
「確かに」
「でも緊張するわ…………………」
「うん……」
いくらなんでも緊張しすぎだろ……………。
『おいおい、どうした?光の戦士がそんなんじゃ世界なんて救えないぜ〜?』
そう言って茶化す優羅にウォーリアたちは少し困ったような表情をすると、ウォーリアは小声で「我々は認めていないんだが…………………」と言った。
なんだ。そんなことか…………………
『認めようと認めまいと誰かがやらなきゃいけないだろ。もし、彼女がひどい目に逢ったらそれこそ王様に顔合わせできない』
そうはっきり言い切る優羅は自信に満ちた目をウォーリアたちに向けた。
「……それもそうね。分かったわ、行きましょう優羅」
『お、そうこなくっちゃ!よし!行くぞ』
少し調子に乗った優羅はそのままリースと共に城に向かっていく。
他三人は、苦笑いをしながらも優羅についていくのだった。
コーネリア城―
「ここを進めば王が居る部屋です」
『有り難うございます』
コーネリア城に入った四人は兵士の案内を受け、大きな階段に足をかける。
城の中は慌ただしく、怪我人を運んでいる人たちも見え事件の重さに五人は息を飲んだ。
・
・
・
・
・
「というわけなのだ。どうか、どうか娘を!助けてくれ!」
『当たり前です。でもその前に何処に行ったのか心当たりはありませんか?』
本当は何処に居るのか見当がついているのだが、ここは自然に事を進めるに限る。
「あぁ、追いかけていた兵士からカオスの神殿に向かったと言う情報があったが……」
『では一度そこに向かうことにします』
優羅はそう言って軽くお辞儀をするときびすを返してスタスタと部屋から出てしまった。
「あっ!待って…………。どうしよう。行っちゃった」
「追いかけないといけないな、皆。行こう」
そう言うウォーリアのあとに続き他の三人も部屋を出た。
「優羅〜」
困ったように彼女の名を呼ぶリースはエントランスで怪我人を運ぶ優羅を見つけ駆け寄った。
「何してるの?」
『何って、怪我人運んでんだよ。さっき王のところ行く前にまだかなりの人数いたから……』
「そっか…………………。あっ!私も手伝うわ!白魔術師だからできることあるだろうし♪」
『あぁ頼むよ』
リースに救護室の場所を教え、再び怪我人を運んで居ると名を呼ばれた。
「優羅」
声のする方を見るとそこに居たのはウォーリア。
ウォーリアは優羅の怪我人を半分持つようにして抱えた。
『他の怪我人は?』
「この怪我人で最後だ」
『そうか……』
は、話が続かないっ!!
初めて…………………ではないが、あまり個人どうしで話していないためウォーリアも優羅も話が続かず黙ってしまう。
「…………………君は。いや、何でもない」
『?』
優羅は言葉の真意を図りかねて首をかしげる。
何を、言いたかったんだろう?
そう思う優羅はウォーリアに聞き返そうかと思ったが、まあいいか。と頭の中からシャットダウンさせた。
『よし。仕事完了!』
「有り難うございます。お手を煩わせてしまって申し訳ありません」
『いや、なにもしないより何かしら手伝った方がいいかな?と思ったので…………………』
あれだけ怪我人がいたんじゃ、仕事はかどらなくなりそうだけど…………………
暫く衛兵と話し救護室を出ると日も落ち
窓から西陽の光が差し込んでした……
綺麗だな…………………。
夕日は綺麗だが何故か感傷的になってしまう……。思い出した家族の事を頭から追い出し、城から出ようとしたとき…………………
エントランスを挟んで向かい側の廊下の窓から外を覗くウォーリアの姿があった。
『…………………っ。』
あぁ。綺麗だ…………………。
窓から差し込む夕日に照らされいつもの青銀の髪にオレンジの光が舞っているようで。
瞳にも同じ様にオレンジが映り、言い表せない美しさがそこにあった。
『…………………ウォーリア……?』
優羅がためらいがちに声をかけると、ウォーリアはハッとなって優羅を見る。
「あぁ。優羅か……。どうした?」
『そろそろ宿に戻らないか?皆が待ってる』
一体何を考えていたのか……。そんなことを聞くだけの勇気は彼女にはなかった。
だから代わりに問い掛けるようにそう言った。それだけしか言えなかった。
「…………………あぁ。」
少し間があったものの。ウォーリアは小さく返事をして宿に向かった。
彼女は思いもしないだろう……。
ウォーリアが優羅の事を考えていたことなど。
『さて戻るか』
なにも知らない優羅は宿に向かって歩を進めるのだった。
続く…………………
______________
あとがき
ども、龍です。
姫を助けに…………………とか言っときながら全然助けにいってないじゃんとか言わないでください。
これから行きます。
まだヒロインは剣装備ですね。
変えるつもりはありませんが!
まぁでも槍とかは持たせたいな。
かっこよく敵を倒してくれそうです。
短編でやってみようかな…………………。
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