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FinalFantasyT
1.はじまり


なんとなく見上げた空に思う。


自分の生きる意味、人間が存在する理由………


我々のいる世界は実は夢や物語。
はたまた誰かの願いから生まれたものなんじゃないかと…………………。


勿論、これはあくまで自分の考えで。
実際そうなのかなんて分からない。


分かるわけもない。


何より。それを知ったところで何かが起こるわけでもない。


平々凡々。普通が一番。


そんな「普通」が好きで、「いつも通り」が楽しく感じる日々…………………。


それでいいはずなのに、


時々、未来のことが気になったり。不安になったり。


後からこうすれば良かった。なんて毎日のことで…………………。


どうしても、「他の世界だったら」なんて現実逃避してるように感じてバカバカしく思ってしまう。


(気分転換に散歩に来たのに何気落ちしてんだよ……)


朝っぱらからしょうもない事を考えては変に考え込むのは毎度のことのようで、優羅はため息をつくとタンタンと小気味良いリズムで駆け出した。


大学に入って1ヶ月。


わりと直ぐに友人もでき、何気ない会話(大半がオタ話)に花を咲かせることも多くなった。


高校の終わりに髪を切り今は髪はショートで少し癖のある髪を軽くすきながら家路についた。


ガチャッ


『ただいま』


「あ!お帰りなさい。お姉ちゃん」


家に戻って一番に声を掛けたのは妹の美琴。


「お帰りっ。朝ごはんできてるよ」


『あぁ、有り難う。二人とも、学校に行く準備は?』


「出来てるよ。僕たちもう子供じゃないもん」


そう言って頬を膨らませるのは弟の潤。


潤は中学三年。受験生としての頑張り時である。


「早く来ないと置いてくよ?」


そう言って美琴はドアノブに手をかけて今にも行こうというそぶりを見せる。


「あっ。ま、まって〜!今行く」


『いってら〜』


「「行ってきます」」


のんびりしながら手をふる優羅に二人は笑顔で返事をする。


いつもと変わらない会話。


くだらないことで笑い合える家族。


他の人から見れば「それが何?」と言ってしまっても仕方ないほどの平和なに日常。


カタン____


優羅は棚に置いてある写真立てに触れる…………………。


そこに居るのは父と母。


そして自分……


『……………。』


優羅は自分の髪に触れ軽くため息をつく。


優羅はお世辞にも両親に似ているとは言えなかった。


黒い髪。黒い瞳。


父は茶髪に青い目。母は金髪にとても珍しい金色の目……


一時は、拾われたのでは?と思ったこともある。


だが、父は自分が取り上げられたところを見ているようなのでそれはないのだろう。


しかし、父親似の妹。母親似の弟が居る優羅にとって、家族の誰とも似ていないことはとても嫌だった。


だが、それで親を恨んだことはなかった。


否。恨めなかった。


恨む前にいなくなってしまったのだ。


 もう……十五年になるのか……。母さんが死んでから。


優羅の母親は弟を産んで直ぐに他界。


父も、母が死んでからは仕事に専念する日々が続いていた。


幼い優羅は冷たくなっていく母親の手を握りながら「行かないで……」と呟いたのをふと思い出した。


『我ながらひどい娘だな。親が死んでも泣けないなんて……』


 美琴はあんなに泣いていたのに……


そんなことを思い出して自嘲的に笑ってしまうのは彼女が自分嫌いゆえの癖。


友人からは「やめた方がいい」と言われているが、当の本人は止めるつもりはさらさらないらしい。


『おっと。こんなことしてる時間はないか』



当たり前になった男言葉もボーイッシュな服装も自分を好きでいるためのまじないのようなもの。


強くなりたくて、家族を守りたくて。


ただそれだけの想いが自分をこんなに変えたのかと思うと思わず苦笑いしてしまう。


Pi.pi.pi.pi……


独特のビット音にハッとして携帯を取ると画面には見馴れた友人の名前。


『!ヤベッ!!』


慌てて時間を確認すると、既に昼過ぎ。
今から行っても最初出席する予定だった講義には間に合わないだろう。


しかし、そこであがくのはもはや人間の性なのかもしれない……


優羅は急いで身支度を整え遅めの朝食(もはや昼食)を食べると、駆け足で玄関に向かいドアノブに手をかけて外に出た



…………………筈だった。




『・・・へ?』


しかし、目の前にあったのは見馴れた町の風景などではなく。


ただひたすらにだだっ広い草原。


驚いて後ろを確認するも、あったはずのドアはきれいさっぱり消えていた。


『……え?え!?』


右、左、上、下、そしてぐるりと一回り


どこを見渡しても見覚えのない景色。


『…………………い、一体』


『一体何処なんだよ此処はあぁぁぁぁ!!』




優羅の叫びはむなしく空に消えてゆくのだった。




続く…………………



______
あとがき


はい、遂に連載(?)しましたFF1!
はじまりです、これから旅が始まります。
多分…………………。
因みに、これから出てくるウォーリアはDFFのウォーリアの姿ですので、何卒ご容赦いただきたい。
あ、あとあとがきは書かないときもあるのでそこのところも宜しくです。( ̄▽ ̄;)、

2018 6/8 訂正




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