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叶わないと知っていても
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でも結局会えなかった。
もう声すら姿すら見えなくなる。
わかってた、覚悟してたはずなのに僕は苦しくなった。
携帯から合鍵を外し、そのまま地面に落とした。
二、三度瞬きをすると潤んでいた瞳から涙が出る。
そして僕を守っていた傘が地面で音を経てた。



「静樹…!?」



和樹の声が耳に入るが顔を上げることができない。
僕は膝を折った。
まるでベタな無声映画みたいに。
自分の泣く声すら聞こえないくらいに。
身体が無理矢理裂けられる程の胸の痛さ。



「静樹…」



和樹はそっと僕の傘で僕を守ってくれた。
雨が神様の涙なら、何故今降っているのだろう。
もし僕の今日起こることを知ってて泣いてくれているなら僕は嬉しいのにな。





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