宵闇に曙光を
3
お…俺?
しかも名前まで変えるのか。
…読み方変えただけだけど。
それから私…俺は母に連れ出され男子用の服や下着、大量の包帯を買った。
美容院で俺の長い黒髪はベリーショートになった。
うん、どこから見ても女顔の男だね。
…少し女として悲しくなったけど。
でも、これで良かったのかも知れない。
これで私、ルキはいなくなる。
幸助の知らないリュウキになる。
幸助の恋人だった私は、女だった私はもういない。
“男”なんだ。
そういえば。
幸助と初めて会った時もこのぐらい髪短かったな。
振り出しに…戻った気がした。
「リュウちゃん…」
今日は入寮日。
私はこれから学校に向かう。
母は男の時の私をリュウと呼ぶ。
「───行ってくるね」
私はまた別れを告げる。
過ごした日々に。
女だった自分に。
誰にも言ってないけど、
本当は今でも幸助が好きだよ。
この気持ちだけは、まだ変わらない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!