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決着 (連載4)


俺の彼女はトラブルメーカー。

(被害者は、俺)



【決着】



突拍子もないことを言った凛。(頼むから、誰かどうにかしてくれ!)



事の発端は、久々の非番に2人で散歩していた時のこと。お互い、会っていないときの時間を埋めるように話していた。話はだんだん広がっていき、もっと昔の…流魂街で生活していた時の話題になった。そして、隣を歩いていた奴は本当に…誰も考えないようなことを言い出した。



「ねぇ、決闘しようよ!!!」



「…悪い、ちょっと耳の調子が悪いみたいで…」



「え、そこボケないで!真面目な話なんだからっ」



「んだよ、急に…」



「ほら、私達っていつも相討ちだったじゃん?だから、どっちが強いのかなぁなんて思って。冬獅郎の方が経験積んでるから有利だと思うけど…でも、どうしても決着つけたいの!!私も冬獅郎も卍解できるし…」



「決着って…。本気出したらどうなるか分かってんだろ?何処でやんだよ…」



「もちろん、総隊長に頼んで…」


「んな面倒なこと、総隊長が了承するわけないだろ」


「えー…じゃぁ、十番隊の鍛練場を「斬魄刀なんか使ったら木端微塵だろ」…ん〜っじゃぁ木刀でいいよ!」


木刀、ねぇ…。それでも鍛練場は崩壊だろうな。こいつはやると決めたら絶対に身を引かない奴だし…(面倒なことにならなきゃいいが…)



「せっかくの非番なのに……。仕方ねーな。行くか、鍛練場」


「!!!うんっ♪」



(ただの決着をつけるだけで済めばいいが)

















「よかったね、誰もいなくて」


「よくもねーよ。誰も鍛練してねーとは(呆」


「まぁまぁ;」


「…ルールは簡単。鬼道はなし、時間無制限。どちらかの体力が尽きるか、もしくは負けを認めるか…」


「負けた方が勝った方の言う事を一つだけ聞く!!行くよ、」



「せっかちだな…っ!!!」



お互い死覇装に着替え、木刀を構える。こうして向き合ったのは何年ぶりだろうか…。そんな懐かしさに浸る暇なく、始まった決着。(絶対負けない…負けられない)



















「はあっ!!」



「っ!!」




始めてから3時間が過ぎた。日番谷も凛も、お互い一歩も譲らず木刀を交える。攻めては守り、守っては攻め。気付けば場内は穴だらけ。床も壁もボロボロになっていた。息も荒くなり、2人は肩を大きく上下させていた。最初は瞬歩を使って攻撃をかわしたりしていたが、体力がなくなってくるとそれもできず、なんとか木刀で受け止めるが弾き飛ばされる。お互い死覇装もボロボロ。(だが、どこか楽しげ)木刀を握る手には何時しか血が滲み、少しでも気を緩めれば落としてしまうほど。もう気合いでやっているとしか言えないほどだった。




「…強く、なったな、…」


「はぁ、はぁ、…っ当たり前でしょ!」



時たまこんなやりとりをしながら攻める、守る。時間無制限だから、このままいけばきっとどちらかの体力が尽きて終わるだろう。だが、お互い負けず嫌いなため一向に終わりの気配を見せない。




「てゆーか、このギャラリーは何?!」




いつの間にか、自分達を囲むようにして見ている野次馬。十番隊隊員が殆どだが、中には十一番隊の隊士もいる。(気が散って目障り)



「…さぁな。それより、余所見なんてしていいのか?」


「っあ、」

日番谷は瞬歩で間合いを詰めた。これで終わる、と思いきや反射神経のいい凛は咄嗟に瞬歩でまた間合いを取る。


「さっきから、逃げてばっかだけど?」


「っばーか!攻めるだけが戦い方じゃないの!」


「長期戦になったら不利になるのはお前だろ?」


「っ!!!」


確かに、瞬発力に優れていると自負しているが、同時に体力はそこまでないのも理解していた。暫く会っていないから気付かれないと思っていたのだが…。日番谷の目は誤魔化せなかったようだ。






「――――次で終わりだ」


日番谷はぎゅっと木刀を握った。(次の一撃で決着を)


「…そうね」


神経を研ぎ澄ませ、相手を見据える。2人の間には、冷たい風が吹いていた。









辛うじて立っていた鍛練場がガタリと音を立てた。―――それを合図にするかのように、一歩を踏み出した。










"うぉ?!"


"なんだ?!"


"あぶねー!"


"崩れるぞ!"






2人の木刀が触れた瞬間、突風が発生した。鍛練場は大きな音をたてて倒壊し、瓦礫の山と化した。








"日番谷隊長は?!"


"どうなったんだ?"


"桜井三席?!"



ガラッ…




2人の安否を心配したが、砂埃が舞って近付けない。…暫くして落ち着くと、瓦礫の山から人影が立つのが見えた。(みんなが息をのんだ)(こんなに激しいなんて)





「ったく…誰が修理すんだよ」







「日番谷隊長!!!」


「大丈夫ですか?!」



ケホッケホッと咳をしながら、彼女をお姫様抱っこする日番谷は、


(キラキラ光っていた)




後日―――






「…え、今なんて…」


「だから、鍛練場の修理費は全額お前負担」


「……ごめん、夢だよね、うん。分かってるんだけどなかなか目が覚めなくて…」


「十番隊の経費で直したら赤字だからな」


「か、彼女の財布を寂しくさせるなんて…っ!」


「負けた方が勝った方の言うことを聞く…ってお前が言い出したんだよな?」


「〜〜っ!あーもうっあの時の自分呪いたい!」


「過去に囚われる女は醜いぜ?」


「…アホ馬鹿シネ!」


「なっ!」





「…ま、私が決着つけようって言いだしたんだもんね…」


「(強く言い過ぎたか?)」


「けど、次は負けないんだから!次は料理対決ね!」


「…はっ?!」



2人の"決着"は、まだまだ着かないみたいです。


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あきゅろす。
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