10. 耳朶(藍→一)※一護隊長
「ッ!!」
「相変わらず敏感ですね」
急に背後から息を吹きかけられビクッと体が震える。
こんな事をするヤツなんて一人しか思いつかないから、キッとキツク目を細めて振り返ればそこにいたのは予想通りの男。
くすくすと笑っているそいつは、悪かったなんて微塵も思っていない。
「藍染!!」
普段なら仕方の無いヤツだと溜息交じりに説教するが、今日はそういうわけにはいかない。このふつふつと湧き上がる怒りは、怒鳴りつけてやらなければ収まらない。
「隊長?」
「お前、気配も霊圧も消して背後から近づくなって言ったよな。さらに耳、弱いからそういうことすんなとも言ったよな?」
「そ、それは・・・」
私の怒鳴り声に藍染の目が驚きに見開かれ、たじろぐ。
その様子に怒りを納めなければとは思ったものの、今の出来事で失ったものが大きすぎて納めきれない。
「お前なんて、藍染なんて大ッ嫌いだ!!」
ピシッと音が聞こえるように石化した藍染を横目に、私は完成間際でダメになった書類を見て唸った。
苦節3時間・・・あとは署名だけだったのに!
ああ、泣きたい・・・
考えれば考えるほど疲労が増し、よろよろと藍染も書類も放り出して私は帰宅した。
翌日
目の下に隈を作った惣右介が書類を完璧に仕上げて土下座してきたのだった。
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