14. 歌声(浮一)
魂を震わすような強さじゃない
涙が出るような感動もしない
それは心を穏やかにさせるような
優しい歌声
「一護」
「〜。浮竹さん、どうかした?」
俺の声に止まる唄
キョトンとした目で見る一護
「もっと近くで歌ってくれ」
縁側に座った君の隣に座って、ゆっくりと横になる。
膝の上にのった俺の頭に驚いて、でもそれは一瞬
一護の手が俺の髪を撫でる
ちらり
視線だけを向ければ口元には小さな笑み。
「子どもみたい」
クスクス笑った一護
「じゃあ子どもの様に甘やかしてくれ」
「ハイハイ。大きな子どもさん」
幼子をあやすように、頭を撫でながら唄を歌う
それは
子守唄
すでに記憶には無い
母の唄
「子どもを作ろうか?」
「…バーカ///」
ほのかに赤くなった顔を隠すように、俺の頭を押さえる。
「今は大きな子どもがいるからいらないよ」
歌声が静かな夕暮れに響く
それは子守唄
温かな君の唄
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