05. 真昼の月(ギン一前提イヅ一)
「黒崎くん?」
突然立ち止まって空を見上げた一護に声をかけた。
寂しそうな横顔。
「月」
青空にうっすらと見える月
まるで愛しいものを見るように、月を見つめている。
「月はいつもそこにいるのに…」
泣き出しそうに、震える身体。
あぁ、あの人を思いだし、苦しんでいるんだ。
気付いてしまった想い。
「黒崎くん…いってはダメだ」
行くのか言うのか、どちらの意味で言ったのか、僕自信にもわからない。
「イヅル……わかってるんだ」
振り向いた、無理をして作った笑顔。
「もう、いないんだって…」
「…………」
無言で抱きしめてあげることしか出来なかった。
あの人は、そばにいなくなった今も彼女を縛りつける。
いつまで僕は彼女をここに留めていられるのだろうか?
「ギンっ……」
声を殺して泣く一護を、ただ必死に繋ぎ止めるように抱き締め、
真昼の月を睨みつける。
どうか、連れて行かないで下さいと……
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