14.美女と野獣(狛一)
「なんでだよ」
「知らへんよ…ボクが聞きたいくらいや」
その事実を知った者は、皆不満を口にする。
「もう、慣れちゃったよねェ」
「ああ…」
長年の付き合いのある者は、すでに諦めの域に入っている。
「一護君が幸福だと言うから、それなら祝福しないとね」
「藍染さん!」
最後に現れた物腰柔かな男性に、少女は顔を上げて手を振った。
「元気そうだね。一護君、狛村君」
「藍染殿も御健勝そうでなによりです」
「君ももう隊長なんだから、敬語を使わなくてもいいんだよ?」
「いえ、それは…」
「無理だよ藍染さん。左陣さん、私にも敬語使うんだから」
硬い敬語に苦笑いをして返せば、困ったようにする狛村。それを遮るように、一護が溜息混じりに文句を口にする。
「夫婦なのに」
ぷぅっと膨れた一護に、狛村は慌てうろたえる。
「い、一護…」
「……ふーんだ」
すねた一護はそっぽを向き、狛村はどうなだめるべきかわからずうろたえるだけ。
「平和だねェ…」
京楽の呟きに浮竹と藍染は頷く。
若い二人は、一目惚れした少女が同僚の狛村の妻だと知り、しばし悩みうなされる。
それは、平和な日常。
「第一あの二人は、美女と野獣というより…ね?」
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