09.ペロペロキャンディー(浮一)

久しぶりに訪れた尸魂界で、一護は真っ先にあの人の所に向かった。

大好きな浮竹さんの所へ


今日は元気にしてるかな?




少しでも元気でいてくれることを祈って。










「浮竹さん!」



「やぁ、黒崎。元気にしていたかい?」


今日は体調が良いみたいだ。

執務室に座っている姿を見て嬉しくなる。




「もちろんです!」



大きな声ではっきりと答えれば、笑顔でよかったと言ってくれるから。








すごく安心できる笑顔。










「あぁ、そうだ。志波、確か朽木が買ってきた飴がなかったか?」

「それならソコの棚の中じゃないですか」






しばらく見つめあっていたが、突然浮竹さんは何かを思いついたように海燕さんに声をかける。






アメ?









「有った有った。はい、黒崎」


「あっ、ありがとうございます」









渡されたのは、棒の付いた飴。言うなればペロペロキャンディー。









甘い物は嫌いじゃない。むしろ好きだよ。






だけど…









だけどこれって…

物凄く子ども扱いされてませんか?











うぅ〜、確かに浮竹さんからしたら(ルキアからしても)子どもかもしれないけど、










「もう結婚できる年なのに……」










無意識に口にだしていたみたいです。


飴を舐めながら。









浮竹さんが目を皿のようにしたからそのことに気付いて、








「あっ……」









思わず飴を落としてしまった。





もったいない…。









「あ、いや、そうか……黒崎は、結婚するのか…」




…えっ?て……いやいやいや、話が跳び過ぎ!








「そうか……」










「待ったーーっ!自己完結禁止!!」



って、叫んだときには、既に瞬歩でいなくなっていた。








え、これって
最悪……(涙)









「はぁ〜。これで隊長しばらく(誤解が解けるまで)使いもんにならねぇ」










消えた隊長の執務机の上に積み上げられた書類の山を見、海燕は深くため息を付いた。










土の上に落ちたペロペロキャンディーに、虫達が集まり出していた。


















「浮竹〜飲み過ぎは体に悪いよ〜?」

「お前に言われたくない、京楽」


持っていた酒樽を奪われた京楽は、朝と激変した親友の姿に首を傾げた。



あの一護ちゃんが来て浮竹の機嫌が悪くなるなんて…?





「あのさ〜、一護ちゃんと何か有ったの?」



「……黒崎が」



ぴくりとその名を出した途端変わった気配にヤバイと悟ったが、逃げないようにしっかりと腕を捕まれ、地鳴りのような声をだす。








「黒崎が、結婚すると……………どこのどいつだ!?俺が蝶よ花よと育てた黒崎を!!」


斬魄刀を持っていたのはそのためか!気付いたときには遅く、浮竹は斬魄刀を解放していた。












「あっ?なんだ??」
「うぅ〜浮竹さんの馬鹿〜」



突然の地響きと霊圧に、泣きじゃくる一護を慰めていた海燕は顔を上げた。



「……隊長、何やってんですか…ι」


霊圧の持ち主を思い、呆れ顔で頭を掻いた。







「浮竹さん以外の誰と結婚しろって言うんだよーーー!!!」




九. ペロペロキャンディー

〜後書き〜
別名、暴走A海燕苦労話……続きそうだよね、なんか。浮竹さん、娘と嫁を同時に奪われた気分何ですよ



あきゅろす。
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