08.キャッチボール(浦→一)

「一護サンキャッチボールしましょ♪」

「………こんな雪の中でか?」


ちらほらと雪が降るこの冬の日に、浦原は一護の家にやってきた。
相変わらずの下駄帽子ファッションで。


「寒くないのか…て言うか変人だろ、お前」
「アタシは熱い男だから寒くないんです!」

後半部分は聞かなかったらしい。便利な聴覚だ。


「で、なんでキャッチボールなんだ?」

「フッフッフッ、それはですね〜この雪を利用して雪玉を壊さないくらいに寄り添って、雪玉と言葉のキャッチボールをしながら愛情を深めていくという素晴らしいアタシの計画なんでスよ」


「あっそ」


熱く語りだした浦原を外へ押して行き、話終わると同時にドアを閉め鍵をかけた。



「ちょ!一護サン?なんで閉めるんスか!一護サーン!!」

「帰れ」


ドアを叩く男に、一護は冷たく一言言い放った。

しかし、浦原喜助(年齢不明)はこの程度で諦める男ではなかった。



「一護サーン!アタシ開けてくれるまで帰りませんよ!」


ドンドンドンドン


「………クスン」


諦めたかと一護がドアの方を覗けば、ドアの前で座り込んだ中年男。



立派な営業妨害である。(黒崎医院は本日休業)




「………」

一護は考えた。


このまま放っておけば、自分に対するよからぬ噂が立つことは目に見えている。
しかしこの寒い中くだらない遊びに付き合う気は微塵もない。







「キャッチボールすれば満足なんだな?」


「一護サン!」


窓?から出てきたのか、外からかかった声に浦原は顔を上げる。
なぜか死覇装姿(死神化)していたがそんなことはさほど気にはならない。


「浦原……覚悟しろよV」

ドサドサと一護の後ろにあるのは大量の雪玉の山が崩れた。

その雪玉の一つをにぎりしめ、清々しい笑顔を見せた一護は大きく振りかぶって………









「イタっ!」

投げた(ぶつけた)。


「チョッ、一護サンこれはキャッチボールじゃ……ッ!」

「ほら浦原キャッチしろよ」

べしべしと今までの欝憤の全てをぶつけるように、一護は全力で雪玉を浦原に投げつける。
そんなものを捕れるはずなく、浦原は逃げて避けることしか出来ない。











悲鳴と笑い声が響き渡ること数十分。




「はいキャッチボール終了。これ以上居座ったら……テメエの店に巨大な何かを降らせるからな」

「な、何かとは……?」



「…………クスッ。聞きたいのか?」


「イイエ、イイデス」



一護の本気の瞳に、浦原は涙ながらに帰っていった。










「店長何して来たんだ…?」

「雪だらけの痣だらけ?」

店番をしていた雨とジン太は泣きながら帰ってきた浦原の様子に首を傾げ、



「ぷ、ハハハハ!なんじゃ貴様その姿は!ぷははははは、腹がよじれる…!!」

夜一は指を指して笑い出した。











「明日こそ一護サンと愛を深めて見せますからねーー!」


一人、冬の夜空に誓いを立てる浦原だった。






八. キャッチボール



家の浦原ヘタレだな……
んで一護が女王…




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