20.競走(ギンvs日→一)
「一護ちゃん」
「一護」
「「どっちが好きなん(だ/や)?」」
「…?どっちも嫌いじゃねぇけど?」
その解答に、二人してがっくりと肩を落とした。
「なんだよ、二人して?」
((この鈍感……!))
END?
いえいえ、続きます。
「ダメや……このままやとシロちゃんと二人して自滅やん…」
「あいつ…なんであんなに鈍いんだよ。15だろう?」
隊長が二人して茶を飲む姿に、驚きのあまり隊員の数人が地蔵化した。
それもそのはずだ、絶対に相性が悪いだろうと言われ続けた二人。
十番隊隊長
日番谷冬獅郎
三番隊隊長
市丸ギン
この二人が共に茶を飲んでいるのだ。
「隊長、そんなこともわからないんですか?」
そんな二人の間に入って行けるのは彼女だけだろう。
十番隊副隊長にして市丸の幼なじみ、松本乱菊。
さらりと告げられた言葉に、冬獅郎は不愉快そうに振り返った。
「わかるのか?」
「勿論ですよ。ってか吉良もわかるでしょう?」
「えぇ、まぁ…」
突然話を振られたイヅルは苦笑いを浮かべながら言った。
「イヅル、わかっとるんなら教えてや!」
今まで傍観していたギンも、突然副官も自分の知らなかった(知りたい)ことを知っていると言われ、慌てる。
「一護は」
「黒崎くんは」
「「女性としての自覚が無いんですよ」」
「「はぁ?」」
予想外の答に、思わずほうけた声が出る。
「自覚がないって…アイツもう十五だろう?いくらなんでも…」
「ん〜そりゃあ普通に生活してれば気付きますよね〜。でも、黒崎は普通ではない、男性として生きてきたんですよ」
「だから、黒崎くんにとって男友達は当たり前。むしろ女性にたいして照れているんです」
「アカン…一護ちゃんの可愛さばかり見て他の所見とらんかった…」
二人の言葉に市丸は大袈裟に頭を抱えた。
「…つまり、先ずは自覚させねぇと無理ってことか」
「そうなりますね。大体黒崎もったいないんですよ、形良し大きさ良しのあれだけいい胸を持ってながらさらしなんかで無理矢理押さえ付けちゃって…あれじゃあ形が崩れちゃうじゃないですか」
「ちょっと待(て/ちぃ)」
乱菊のマシンガントークに考え込んでいた二人が顔を上げた。
「松本、なんでお前が」
「なんで一護ちゃんの胸の形や大きさを知っとるんや?!」
「揉みましたから」
手をワキワキと動かしながら、あっさりといい放った。
((羨ましい…!!))
黒崎一護
彼女のことになると妙に意見の一致する二人だった。
「……こうなったら、シロちゃん競走や!一護ちゃんをどちらが先に自覚させれるか、負けた方は一護ちゃんを諦めるってことで勝負や!!」
「……ふん、乗った!」
邪魔者撃退+一護GET一個で二度おいしい賭けに、冬獅郎頷いた。
「また仕事が滞る…」
「良いじゃない。たまには」
「何時もなんですよ…」
イヅルの嘆きは、既に戦闘体制に入った隊長二人、娯楽を手に入れた乱菊の耳には届かなかった。
二十.競走
〜後書き〜
続きそう…話があまりにも続きそうで、『END』と書く気が起きない。
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