ギモン
揺らぐ霊圧
強い魄動
そしてそれは急速に消えていく
「穴の開いた袋のようだ」
髪を抄けばぴくりと小さく反応し、しかし目覚めず眠り続ける。
「穴って…なんですか?」
「……チッ」
消え続ける力
穴が開いた原因はおそらく…僕の攻撃だ。
あの一撃で彼女の魂に傷が着き、霊力を留められなくなったと考えれば消え行く霊圧の説明はつく。
───不愉快なことだけれど。
残りは、戻った霊圧。
眠ったからかと思ったが、眠り続けている今も霊圧は小さくなり続けている。
「どうやって霊力を取り戻す?」
消えた霊圧
破面の叫びと同時に、小さくだが揺らめいた霊圧
ギンが連れ帰って来た時にはかなりの強い霊圧を感じ取れた。
起きているときに回復するのか?
「ア」
「…なんだ?」
どうも釈然とした答が見つからずにイライラしていると、ギンが抜けた声を上げる。
「いやなぁ、そういえばボク言い忘れたことあったわぁ」
「……で、なんだい?」
ちらりと視線だけ向ければ、ヘラリと笑ってすみませんなぁと全く悪気を感じさせない様子で謝るギンに、いつものことだと言い聞かせてため息を落とす。
「ボク、一護ちゃんに首を噛み付かれたわ」
「噛み付かれた?」
「で、血ぃ吸われた」
「血を?」
ここなんやけど、と指を差したギンの首を見るが、全く痕跡が見つからない。
「鬼道で治したのか?」
いくらなんでも自然治癒で治すには時間が足りない。
「血が出んくなるまで舐められたし、わざわざ治しませんよ」
ギンは藍染の言葉に不思議そうに答える。
この様子だと嘘は着いていないだろうし、嘘をつく必要性など微塵もない事柄だ。
「藍染隊長?」
では何故傷が消えた?
消えた霊圧
血を吸う
蘇った霊圧
消えた傷
「…お腹空いた」
思考の奥深くへと入っていたせいで、藍染は一護が起きたことに、指先の小さな痛みを感じるまで気付けなかった。
ギモン
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