偶然必然自然な遭遇1
過去篇について



原作より約二百年前
シリーズ最新より約百年前くらいを想定しています。
かなり大雑把な年数計算ですので、気にしなくても大丈夫です(なら書くなよι)

話は、藍染さんが護廷に入隊する所から始まります。


オリジナルキャラ出演。




偶然必然自然な遭遇1







「五番隊か…」

正直な話、どの隊でもよかった。
まあ、四と十一、十二は除外だけど…。



「新人か?」
「……はい」

気配はするけど姿は見えず。木の上か?
突然の声に驚きつつも、それを表にださずに応えた。

「そう……呼び止めて悪かったな」
「いえ、構いません」

悪印象はいろいろ面倒だから、僕はいつもと同じ人のよい男の仮面を被る。

「………」
「…失礼します」

本当に呼び止めただけだったのか、木の上の人はそれ以上何も話さなかった。







「済まないな。五番隊(ウチ)の隊長は気まぐれで……」
「気にしていませんからι」


各隊の隊長の紹介をされる中、自隊の隊長は姿を現さなかった。
代わりに現れた副隊長の男は早霧(サギリ)と名乗り、苦笑いしながら僕に何度も謝る。

僕はそのたびに気にしてないといい、苦笑いを浮かべてみせる。


どんな人物であろうと、僕には関係ないのだから。



「ここが五番隊の隊舎だ。藍染くんは新人だが第七席だから、ヒラ隊員とは別の…」

話に時々頷きながら、ぼんやりと先程会った隊長達を思い出した。

総隊長兼一番隊隊長は、さすがと言える貫禄と霊圧をしていた。
ただ、他の隊長達には興味のカケラも湧かない。目の前の早霧もそうだ。この程度で副隊長とはね…、霊術院で先輩にあたる浮竹や京楽の方がマシじゃないか。
くだらない。この程度で、死神が世界の安定者だと言えるのか?






「早霧副隊長!」
「どうした?!」


「三番隊との合同任務で討伐に出ていた者達が全滅しました!」
「なんだって!?」


退屈だと思いぼんやりとしていれば、ただならぬ嵐が舞い降りてきた。












「新人の君にこんな任務をさせるべきでないんだが…」
「僕が言い出したことですから、気にしないで下さい」

全滅とはつまり情報零。早霧はすぐに席官を集めだした。
僕は願い出て、今ここに居る。
しかし、こんな状況になっているというのに、隊長は見つからなかったらしい。



「見えてきた…」
「………」

酷い有様だ。
枯れた草木を赤く染めるのは紛れもなく血。
これほどの人数がいて殺されるなんて…。


「気を抜くなよ」

虚の姿は見当たらない。
別の場所に移動したのか?いや、違う!

「クッ!!」
「藍染!」

霊圧を感じとれ虚の攻撃を何とか鞘で止めたが、勢いは殺せず地面に叩きつけられる。


「ッ……これ…は…」

バタバタと早霧達が倒れていく。

僕は瞬時に二つのことを理解した。
この虚が姿を消せることが出来るということ。
何らかの方法で死神の意識を奪えるということ。
奪ってしまえば、どれだけいようとゆっくりと殺せる。

「ケーケッケッケ、死神とはバカばかりだな!」
「『鏡花水月』」

斬魄刀を握り、霊圧を探って打ち込む。

「どこを狙っているゥ?」

姿が見えない。
まさか、これほどまでに視覚に頼っていたなんて…。

しかもこの虚、鏡花水月の能力が効かない。

「生き餌もたまにはいいなァ、ケケッ」
「グッ…しまっ!」

両肩を切られ、鏡花水月が手から離れる。
鬼道を打とうにも、間に合わない!









「遅くなったね」

虚の牙が僕を貫くより早く、黒い影が虚を吹き飛ばした。
次いで聞こえた声には、聞き覚えがあった。


「さっきの…」
「新人なんだから、無理するな…でも、お前が居なかったらみんなが死んでいた。ありがとう」

木の上にいた人の声だと顔を上げた僕が見たのは、萱草色の髪をした少女だった。


「なんでここに…」
こんな少女が?


疑問に目を見開けば、吹き飛ばされた虚が反撃してくる。



「仲間を傷つけた罪…償ってもらうよ」

見えない攻撃を避ける姿には余裕すら感じられる。ふわりとゆれる髪、虚を見据える強く、しかし悲しげな瞳。

痛みを忘れるほどに、僕は見とれてしまう。
幼いと思えた少女の表情は大人びて見え、その髪の毛の一本一本までが美しく僕の目を奪う。


彼女は虚の攻撃を掠らせもせず、的確に白打でダメージを与える。





「     」

虚に向かい、何かを口ずさむ。声は離れているせいで聞こえなかったが、鎖が巻かれた斬魄刀を抜き、彼女は一撃で虚を昇華した。

その消えていく虚に、
彼女は………泣いていた。


その涙は酷く美しく、僕は消えた虚に嫉妬する。



「………四番隊が来たみたいだね」

涙を拭い取った彼女は僕の傷を応急手当し、他の人たちの無事を一人一人確認する。そうしているうちに四番隊が駆け付け、僕たちは瀞霊廷に戻った。




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