子苺と苺大福
「一護ちゃん美味しい?」
「う(コクン)ギンもたべゆ?」
もう怒る気にもならない。
隠し部屋に呼び出せば、またしても茜色の少女にデレデレとしているギンの姿。
「そやなぁ…ボクは苺より一護ちゃんが食べ「一護くん、こんなのに近づいたらダメだよ」
「う?……あ、かなめしゃんこんにちは!」
犯罪的な台詞を言い出したギンの頬を掠り床に刺さった斬魄刀。冷汗を流すギンに気付かず、一護は口の回りにあんこを付けたままその持ち主に元気よく挨拶をした。ああ、本当にいい子だね。
「藍染様、お話とは?」
要の言葉に、ニコニコと笑いながら苺大福を食べる一護をチラリと見て、深くため息を着いた。
「…今は話せないね、一護の教育に悪いから」
殺すとか…やっぱりまだ早いよね。
だから、連れて(掠って)くるなと言っていたのにあの狐は…!
「済まない、わざわざと呼び付けたのに」
「いえ、藍染様のせいではなくアレのせいですから」
視線の先には、立ち直ってしまい一護を膝の上に乗せるギン。
ついに要のギンにたいする呼び方が『アレ』になったか…と、どうでもいいことを考えてしまった今日。
「あいぜんしゃんイチゴたべゆ?」
真っ赤な苺を差し出してくるのはとても愛らしいけど…
「ギン、一護に間違った大福の食べ方を教えるんじゃない」
苺大福の餅と餡子を食べて中の苺を残すのは、どう考えてもおかしいだろう。
「え、だって一護ちゃんと間接「一護くんの平和のために死んでくれ」
「のわっ!!なにすんや、要!今の避けとらんだら完璧にあたっとったやんか!!」
「当てるつもりだったんだろうね」
要の行動は正しいよ。うん。
「一護ちゃ〜ん、要と藍染はんがボクのことイジメルんや〜」
「む〜。かなめしゃん、あいぜんしゃん、ギンをイジメたらメッ!!」
6歳児に泣き落として頼るのかギン…(人選を間違えたか?)
それにしても本当に素直な子だね、一護は…。
「一護、苛めてるんじゃなくて躾けてるんだよ」
「しつけ?」
「そうだよ。ギンに教えてあげているんだ(あまり変態なことをしたら死ぬよってね)」
「ん〜?わかった?」
「いい子だね、一護は」
疑問形だけどあえて無視をしギンの側から一護を放せば、
「ちょ、ボク斬魄刀持ってきてへんのに、ひきょ」
「……」
破壊音と同時に狐の悲鳴が響き渡った。
「花火?」
「そうだね」
誤解した一護のために、今度花火を買ってきてあげようと思った冬のある日。
end
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