浦原家の一護さん
浦原家の一護さん
阿保シリーズ再び






浦原家の一護さんは可愛い。

いつもムッとしている分、たまの笑顔はまさに凶器。
今日も今日とて犠牲者が…。

「いっちゃ〜んvV、元気にしとった?僕、会えん間寂しかったわ〜」
「昨日も同じこと言ってたぞ、ギン。ついにボケたか」

銀狐もとい市丸はどこからともなく現れ、一護に抱き付いた。
だがさすが一護さん、ヒラリとかわしてそのまま歩いていく。勿論ツッコミは忘れずに。

「いっちゃん、冷たい…」
「…あぁもう!一体何なんだよ、俺に何かようか?!」

背後から漂ってきたイジケオーラに、一護は仕方がなく振り返った。

一護さんはお人好しなんです。

「いっちゃん、デートしよ♪」
「嫌だ」

立直りの早い狐はさっと立ち上がり一護さんの手を握った。
一護さん眉間にシワを一本増やして一蹴。
一護さんとデートだなんてずうずしい狐ですね、まったく。

「せっかく美味しいチョコレートケーキのお店見つけてきたんに」

一護の即答に凹むことなく、ボソリと爆弾を投下する市丸。
手を離して帰ろうとした一護さんの動きがピタリと止まる。

「いっちゃんに奢ってあげようと思って来たんに…」
「……いく」

大好物のチョコレートケーキにさらに奢りという言葉に一護さん撃沈。

あぁ、一護さんの貞操が〜!

「じゃあ、行こか」

腰に手を回して歩きだした市丸の周囲に、花が舞っているように見えるくらい市丸は御機嫌だった。
一護さんは一護さんで美味しいチョコレートケーキに頭が一杯で市丸の手には気付いてないようですし。

「一護?」

これはアタシがどうにかしなければと思った矢先、角から現れたのはまたしても銀髪。

「ん?あ、冬獅郎〜」
にこっと笑顔を見せて声をかける一護さん。
笑顔を向けられた日番谷は顔を赤くして少し俯いた。
気持ちはわかりますよ、少年。

「なんやシロちゃんタイミング悪いなぁ」

隣にいた市丸は不機嫌そうに日番谷を睨みつける。
「なにがだよ」

こちらも今市丸の存在に気づき、一気に機嫌を悪くした。

「僕らこれからデートなんや」
「「なっ!」」

勝ち誇った笑みを浮かべ、一護を自分の方に引き寄せた。
日番谷とどこかから驚きの声が上がった。

「一護ーー!自分の身体は大切にしないとダメだぞ!」
「そうそう、っていうかそれなら俺といこうぜ」
「檜佐木!てめぇは黙ってろ。一護、こんな狐野郎と二人きりでいたら襲われるぞ」

「………襲われるって、何で?冬獅郎、俺、別に喧嘩するわけじゃねぇけど」

ちがう…その襲われじゃない…

その場にいた4人は揃って一護のニブサに涙した。

「そや、なんで僕がいっちゃん傷つけなあかんねん。失礼やなぁ」
「うわっ!」

ぎゅっと抱きしめられ、一護は驚きの声を上げた。

「市丸、てめぇ…」
「どうしたん、シロちゃん。何怒っとるん?」

斬魄刀に手をかけた日番谷に、挑発するようにわざとらしく言い、口元に笑みを浮かべる。

「今日こそ始末してやる、このクソ狐。阿散井、檜佐木手伝え」
「ほんまややなぁ、これやからお子様は。いっちゃん少し待っとってな」
一護を少し離れさせ、斬魄刀に手をかける市丸。

「………?」
「一護、何をしている」

訳が解らずにいる一護の横に夜一がとことことやって来た。

「え、…ケーキ奢ってくれるって言うから行こうとしてたら、なぜか喧嘩が始まって…」
「…喧嘩のぅ」

一護は喧嘩といったが、横目で二人+αの男を見た夜一には喧嘩ではなく死闘に見えた。

「…一護、帰るか」
「う〜、チョコレートケーキが…」
「喜助に買いに行かせればいいだろう」

娘バカのあの男のことだ、既に買いに走っているだろう。

「うん。じゃあ帰る」

やっと納得した一護を引き連れ、夜一は家に帰った。








おまけ

「一護さん、おかえりなさいv
夜一さん、足の汚れはしっかり落としてくださいね」

「何度も言わずともわかっとるわ」

玄関に入るなり待ってましたと喜助が現れる。

「一護さんのためにチョコレートケーキ買って来たんですよ」

差し出したのは新しくオープンしたばかりのケーキ屋の箱。
今日行こうと思っていた店。
しかも中には限定のチョコレートケーキ。

「喜助さん…大好き!」

フルフルと体を震わせたかと思うと、一護は喜助に抱き付き、極上の笑顔を見せた。


喜助はと言うと、幸せのあまりあちら側の世界に足を踏み入れかけたそうです。



浦原家の一護さんは

可愛くて
鈍感で
甘いもの好きな

最強な御方です。



END


アトガキ

浦原家シリーズ。
別名直打シリーズ
何のプロットもなければ流れもなし。打ってみなけりゃわからない…暴挙シリーズ。

恋次と修兵出てくるなんて思わなかった。
て言うかギンがあんなでばるなんて…シロちゃんは出したいと思っていたが…不思議?(自分の頭の中が一番不思議)


一護は、喜助さんと夜一さんと呼んでいます。




END





あきゅろす。
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