17.破壊的衝動(藍一)※一護隊長

「随分と…」

家具だった物は元の形を完全に無くし、大切なはずの書類は修復不可能なまでに粉々にされ、宙を舞う。

「…何があったんですか、たい」

ガシャンと、突き立てられた斬魄刀によって眼鏡が破壊された。その間近に迫った瞳に光りは無い。

「一護さん」

斬魄刀を血が出るくらいに握り締めた手を抑えるように掴み、もう片方の手で頭を引き寄せる。

「一護さん、声を聞いてください」

一護の頭を胸に、藍染は萱草色の髪に顔を埋めてゆっくりと囁く。

「……っ」
「はい。僕が居ます」

音にならない声を聞き取り、藍染は微笑んで見せる。ふっと一護の瞳が細められ、光りが戻る。

「そう、すけ…また……迷惑を…」

カランッと斬魄刀が床に落ち、一護の体は力を失う。その体を支え、藍染は先ほどよりも強く抱きしめた。

「迷惑なんて思ったことはありません。大丈夫です」
「…ありがとう」

涙を落としながら意識を手放した一護に、藍染は瞼に一つ口付けを落として抱き上げる。
その部屋は破壊され人が眠るのに適さない。修理はいつも通り一護の目が覚めた後に行うべきだと判断し、部屋を後にした。

「僕が傍に居ますから」



あきゅろす。
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