白の日(浮一)




背後から穴が開きそうなくらいに強く見つめられ、俺は筆を止めて後ろに居る一護を見る。

「どうかしたのか?」
「ううん。何にも無い」

一護は畳の上にうつ伏せになったままじっと俺を見ていた。しかし、用があるのかと問えば答えはNO。
俺はまた書類に視線を戻し筆を握るが、やはり背中に痛いほどの視線を感じてしまう。

「一護」
「何でもない」

今度は振り返らずに問うと、一護は視線をそらさないままやはり否定する。

「ふぅ…」
「浮竹さん?」

俺は筆を片付けると腰を上げた。一護は急に立ち上がった俺に合わせて体を起こす。
その一護を抱きかかえ、俺はいつも休んでいる奥の部屋に連れて行く。一護は展開に着いていけないのか目をぱちくりとさせ、俺を見上げる。

「一護に隠し事をされた心労でここが痛くなってな」

一護の手を取り自分の胸に当てる。一護はそっと触れたまま不安そうに眉間に皺を寄せる。

「隠し事なんてしてないよ」
「じゃあ何であんなに俺を見ていたんだ?」
「だって…」

一護の手が胸から離れ俺の髪を一房掴む。それを嬉しそうに撫で、時折指を通す。

「真っ白ですごく綺麗だから触りたくて。だけど仕事の邪魔をしたら駄目でしょう?」

髪に触れたまま捨て犬のような瞳で見上げる一護に、俺は理性が飛びそうになるのをグッと堪える。
一護の頭に手を乗せ、茜色の髪を撫でる。

「俺は一護の髪のほうが綺麗だと思うぞ」
「浮竹さんのほうが綺麗」
「いや、一護のほうが綺麗だ」

「キミたち何してるのさ」
「「………あ」」

お互い引かずに言い争いを続けていると部屋を覗いた京楽が呆れた声を出し、俺と一護は互いの髪を握ったまま振り返る。

「ケンカ?浮竹、無理強いは良くないよ」
「な!お前じゃあるまいしそんな事はしない!!///」

京楽を確認して手を離した俺たちに京楽は顎に手を当て、にまにまと笑い俺を見る。ぽんと肩に手を置いたかと思えばこそこそと耳打ちしてきた言葉に思わず顔を赤くして怒鳴ってしまう。一護は何が有ったのかわからず不思議そうに二人を見比べ、間近で聞いてしまった声の大きさに京楽は耳を押さえて離れる。

「じゃあどうしたのさ」
「…お前こそ何の用だ」

耳を押さえたまま尋ねる京楽に、浮竹はあからさまに不愉快さを表情に出して聞き返す。

「ボク?ボクは今日が白の日だって聞いたら浮竹のことが頭に浮かんだから会いに来ただけだよ」
「『白の日』?……一護?」
「あはは…」

一護の居た場所を見るとそこに姿は無く、探してみれば襖から逃げようとする一護と目が合う。

「……京楽」
「あ、うん。じゃあボクは帰るから!(一護ちゃんゴメン!)」
「あ!!」
「一護は駄目だからな」

笑顔だが目の笑っていない親友に京楽は心の中で少女に謝りながら逃げ出す。一護は掴まれた腕に冷や汗を出す。

「しっかり看病してもらおうかな」
(元気じゃんかぁ!!)

暗転END




あきゅろす。
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