卑怯な優しさ

卑怯な優しさ




君を想う、その心に偽りはない。





ただ僕と他の人の違いは、その手段に制限が無いことだけ。









「ギン?!」

カタリと鳴った扉の音に、一護は嬉しそうに立ち上がる。


「…て、藍染さんか…」

「そう言われると傷つくね」




入って来た人物に不服そうに息を吐き、一護はまたベッドの上に座り込んだ。

光りの当たらない部屋に閉じこもりっきりで、元から白い肌はさらに白く、透き通りそうなくらいだ。



気だるそうに、伸びた髪をかきあげる一護に、藍染はクスッと笑う。






「まったく、何を手間取っているんだろうね、市丸は…」

一護に手を伸ばし、目にかかっている前髪を上げてそのブラウンの瞳を見つめる。


吸い込まれそうなぐらい透き通った、真っすぐな瞳。






「…ギン、大丈夫かな?」

手を払いのけることも目を反らすことなく、一護は藍染に問い掛ける。




ほんの少し心配そうに声は沈む。






「心配いらないと、市丸が言ったのなら君は信じてあげないと」

《優しい》笑顔で言ってあげると、きょとんとした目で藍染を見上げる一護。






「一護くん?」
「今のは嘘?」


不思議に思い尋ねれば、さらに問いが返される。


「ギンが言ってたよ。藍染さんがその笑顔のときは嘘を着くときだって」

「市丸……」

この子は市丸の言う事を無条件で受け入れる。

好きだから信じる。

ただそれだけの理由で…。
まぁ、だからこそこの子は虚圏にいるのだが。



「今は、嘘を着く必要がないよ」

あれは死神たちに対しての、嘘を隠すための笑顔。



今の笑顔は、君を手に入れるための笑顔。



「信じてくれないかな?」

「…信じてもいい」

始めの頃は手負いの獣のような警戒心だった君。
市丸が出掛けてから少しずつ、少しずつ。君は警戒を解く。
心の中に僕の居場所を作り出す。

「本当に市丸は、遅いね…」

君の想い人すら僕の駒。動かしやすい、最高の利用価値の駒。

「藍染さん?」

優しい微笑みで、不安そうな一護の頭を撫でてやれば、零れる笑顔。


「一護くん、また後で来るから」

「あ…うん、ありがとう」


あと少し。

君は僕の手に堕ちる。








「市丸…遅いな…」

遅くなるような命令を出して、戻って来れないようにしたのは僕。

さて、君が戻ってきた時彼はまだ君のものかな?


End

後書き

2500番 すもも様
お待たせしました。
ギン一前提藍一……?
すいません。藍→一っぽくなってしまいました。少しでも気に入っていただければ光栄です。
まぁ、その、返品可能ですので…。

また機会があればリベンジしたいと思います。

すもも様のみお持ち帰り可能です。
改めて、リクエストありがとうございました!



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