危険日の謎
「乱菊さん匿って!」

珍しく…いえ、一護が現れてからはたいして珍しくなくなった隊長のいない隊首室に、飛び込んで来たのはその一護だった。

「……またなの?」

毎月の出来事に、あたしは重く息を吐くことしか出来なかった。






「匿ってあげたいけどねぇ」

さすがにそろそろバレる。
そう確信めいた物を感じていた。女の直感というものだ。



「松本」
「あ゙〜隊長…」

ほら来た。
現れた隊長に、一護があたしの後ろに隠れた。



「一護、こっちにこいよ」
「イヤだ」


即否定した一護に、隊長の眉がぴくりと動く。
罪作りな子と言うか何と言うか…。
一護は隊長を見ないようにそっぽを向いている。


誰をも魅了する少女は、この数日間だけ男達に触れさせず、機嫌が悪い。理由は至極簡単なのだが、その理由が一護に惚れた男たちを躍起にさせるのも事実。

「いち「いっちゃん見っけたで!」


隊長の声を遮り、さらに馬鹿追加。
今の声を聞いたなら、これから続々集まるわね…。




「一護、あんた今まで良く逃げれたわね」
「…乱菊さん、浦原と修兵どこに居るか知らない?」

小声で聞けば、男二人の名前。



なんでその二人?と疑問を尋ねるより早く、近づいてくる霊圧。




「知ってるなら教えて!」
「え、あ、浦原隊長は双極のメンテナンスで、九番隊はその手伝いだったと聞いたけど」

どうしたの、と言い終わる前に一護は窓から逃げ出していた。
向かった方角は双極。

自分から檻の中に入るつもり?

湧き出た疑問と好奇心に負け、あたしは一護のあとを追った。











「騒がしいっすねぇ〜」
「真面目にやってるのがバカバカしくなりそうですよ」
「…浦原さんも修兵も、そう言わずに」

双極のメンテナンスを仕上げ、隊員達を帰してすぐに辺りが騒がしくなる。


理由を知っているからこそ、浦原と修兵は呆れ顔をしながら騒ぎに苛立ち、東仙は苦笑いをしながら二人をなだめるのであった。


「喜助、修兵!」

飛び込んで来たのは愛しい太陽の少女。
慌て怯えた表情をして二人の後ろに回る。


「またか…」

修兵はため息をつき、一護が来た方を見る。すぐに現れたのは隊長および副隊長の方々。

「まったく…」

毎月のことなのだから、いい加減諦めればいいのに…。浦原はさらに呆れたように息を吐く。



「何でいっちゃんボク等から逃げて喜助兄さんのところに行くん?!」

ギンが一番にたどり着き、浦原隊長の後ろに隠れている一護に驚きの声を上げる。



「……お前等は信用できないもん」

修兵と浦原隊長の死覇装を握り、ジト目をして追って来た隊長たちを睨む。


「と、言うことなんで皆さんお帰り下さい」
「兄に言われる筋相はない」

浦原隊長の言葉に朽木隊長が反論し、斬魄刀に手をかけた。


「ゔぅ〜(泣)」
「ったく…一護が怯えてんだろうが」

辺りに漂い出した殺気に、一護は涙目になる。
修兵はその頭を撫でて、なだめている。

圧倒的に浦原隊長&檜佐木コンビが優勢よね…。

こっそり様子を見ていながらそう思った。


「一護サンを泣かすなんてヒドイ人たちですねぇ?大丈夫ですよ、アタシ達がついていますから」

うろたえる隊長たちをちらりと見て、追い撃ちをかけるように一護を抱きしめ、子どもをあやす様に頭を撫でる浦原隊長。




完全に隊長やギンは悪役ね。

でも、なんであの二人…?


「松本さん?」
「買A!と、東仙隊長…ι」


急に声をかけられたからビックリしちゃったわ…。


「どうしたんだい、そんなところで」
「アハハハ〜ι一護が気になりまして」

「ああ……毎月の恒例だけどね…まあ、今月は少し早かったみたいだけど」
「え?」

………ア、本当だわ。

東仙隊長の言葉に指折りながら数えてみると、確かに少し早い。


「なんでわかったんですか?」

東仙隊長は一護の数少ない安全圏のはずなのに

「あぁ、それはね」

「隊長、松本さん少し下がって下さい!」

ああもう!やっと何かわかりそうだったの…にィ?!

修兵の声に下がれば、双極の矛が解放された。


「ちょッ!」
「メンテナンスを終わらせたばかりなのに、仕方ないね」

それでいいんですか、東仙隊長!?

飛び回る燬コウ王に辺りが騒然とする。
壊せば何を言われるかわからないため、隊長達も迂濶に手を出せないようだ。



「あら?」

いつの間にか一護達がいない!!


「今月の有休は今日からか…テッサイさん達にも教えておこう」

「東仙隊長?有休って何ですか?」

やれやれと立ち上がった東仙に、乱菊は問い掛ける。

「あぁ、修兵のだよ」
「修兵の?……今月って、もしかして毎月なんですか?」

「ああ、だからね」

だから、一護のサイクルがわかったってことね。

乱菊が頷くのを見て、東仙は瞬歩でその場から離れた。








「……でも、結局なんであの二人なわけ?」

疑問が解けていないことに気付くのは、燬コウ王が抑えられた頃だった。





数日後

「やっぱり本人に聞くのが一番よね」


「浦原隊長と修兵…あの二人に聞いたらわかるかしら」



あきゅろす。
無料HPエムペ!