臨界状態





もう一杯一杯だ


このままだと零れてしまう……

この想い
この感情


君を好きだという気持ち









前略 お母さん






私は今日、今この時この場所にいる自分を酷く悔やみます。

死神を信じてやって来た、愚かな自分を憎みます。




「てか、放せ〜!思わず辞世の句を読みそうな気分になったじゃないの〜!!」

なんで紅葉狩りの宴会に呼ばれて、来た瞬間縛りつけられるの?


え、酔っ払いの凶行?


市丸のやつ全く酒の匂いしなかったよ!
何でかは知らないけど…どうせ良い理由じゃないだろうけど…


ふぇ〜ん。何で誰も助けてくれないの〜!?




「さてさて今日の大取り、第一回一護ちゃん争奪酒大飲大会ーー!!」

市丸の声に盛り上がる男達。(一部除く)

なぜか黄色い声を上げる女性陣。





「第一回って何だよ?!」


あまりのことにツッコミ所を間違えた一護。








「隊対抗戦やからな〜」


「ふぉっふぉっふぉ、そろそろ黒崎の隊を決めようと思っていたところじゃ」


元凶はじいちゃん(総隊長)だったんですか?!


市丸の言葉の後に続くように言った山本の台詞に、一護は心の中でツッコんだ。





「って、市丸隊長今日は全く酒を飲まないと思ったら?!」

「謀られたか…」


六番隊の二人が言葉を発したと同時に、各隊すでに結構な量の飲酒を行っていたことに気付く。





「市丸、卑怯なやり方だね…」
うっすらと地を出している藍染隊長の後ろでは既に酔い潰れた雛森。



「だから〜僕にあんなに酒をすすめたんだ〜」
「隊長!頑張ってください!」

すでにベロンベロンになっている京楽を支える七緒の顔も、既にほんのりと赤く染まっている。




「酒豪は潰しとかんとな〜。僕もイヅルもそんなにお酒強うないもん」





「隊長……卑怯な手を使わなくても…」

酔っ払いの中、隊長命令で一滴の酒も口にしていない吉良は苦笑いを浮かべる。





そう、すでに宴会はかなり進んでいて、酔っ払いが続出しているのだ。




「勝負は頭(ココ)で決まるんや♪」




ケラケラと笑う市丸の姿に、なんで今日此処に来てしまったんだろうと改めて後悔した。




あぅ〜、なんかこのままだとヤバ気?

市丸の隊に入るってことは何、市丸に命令されるってこと?





「そんなのイヤだ〜!!」







「……どうりで、吉良に酒を飲まさなかったわけね」

「ふん、テメェらしい小狡いヤリ口だな」







一護の泣き声に導かれるように、宴の中から二人の人物が立ち上がった。





「ゲッ、乱菊なんで素面なんや!?」








十三隊…いや瀞霊廷一の酒豪が酒好きが、宴会の終盤になるまで素面でいたのだ。


さすがの市丸も驚き、後ずさる。
いや、幼なじみの市丸だからこそこの異常事態に驚いたのだろう。






「アンタの企みはうちの隊長にバレバレだったみたいね〜」



吉良と同じく隊長命令で飲酒禁止を言い渡されていた乱菊は、市丸の驚愕っぷりに笑い声を上げる。






「ふぇ、冬獅郎…」





「すぐに外してやるから泣くな」



「うん…」


なんだか二人の世界を作りだし始めた様子に、冷汗が流れる。




そんな市丸を横目で見て、日番谷はニヤリと笑う。





「松本、好きなだけ飲んでいいぞ」

「待ってました〜v」





嬉々として酒瓶を手に取り出した乱菊に、市丸は青ざめた。








そう、始まる前から勝負は決していた。







勝者 十番隊(日番谷冬獅郎)














宴会前日の夜


「明日の宴会に呼ばれた?」

聞いてネェぞ、んなこと…



「うん。ギンが招待状を持ってきたよ」

「……市丸が?」

よりによってあの狐が?




「……なんか企んでやがるな…」

「冬獅郎、何か言った?」



「いや…まぁいい。お前が来るなら宴も盛り上がるし、皆も喜ぶだろう」

何かあれば助けてやればいいだろう。

考えながら、少し上の空な風に言えば、眉間にシワが寄る。



「冬獅郎は?」

「は?」



「冬獅郎は喜ぶ?嬉しい?」

不安そうに聞いてくるから、口端をあげて笑った。

「当たり前だろう」


「へへ…よかった」


言葉にして伝えれば、頬が緩み照れたように笑う。


「何があっても守ってやるよ…」

自分に言い聞かすように呟いた。








まぶしい太陽

凍てついた心を溶かした
君の微笑み


守りたい


誰にも渡したくない

誰にも渡さない



近付かないで
近づけさせないで



この想い

この感情


君を好きだという
気持ちが溢れ出す。



そろそろ限界



臨界点突破







お前は俺のだろう?





END






〜後書き〜

一護総受になっているでしょうか?
コメントを入れて下さった方の意見を取入れオチ&前提を日番谷にしたのですか……

ギン出張り過ぎた!?!
困った困った…どうもギンを出すと勝手に動いてしまう…
制御不可能…(泣)
はぅ…

改めて、アンケートに協力して下さった皆様、ありがとうございました。
これからも『青薔薇の庭』をよろしくお願いします。




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