Dotage
Dotage(京一)



「見ィーつけたァ♪………一護ちゃん?」


後ろから抱き付けば、何かしら反応のある一護が、今日は無反応に俯いたまま溜め息を零す。




チラリと寄越した瞳は悲しげに揺れていて、今にも泣きそうだ。





「ど、どうしたの?!誰かにいじめられた?陰険な嫌がらせとか?それとも何か失敗しちゃったの?……そうじゃなくて何か言われたとか?」


一護が泣きそうになる原因を思いつく限り聞いてみるが、全てに首を横に振った。
最後にピンときたことを聞いてみれば、一護は動きを止める。それは肯定したも同然だった。







「………オレ…」

何か言いたげに顔を上げたものの、辛そうに言い淀ませて一護は唇を噛み締める。


いつも元気で真っすぐな瞳を向ける一護が、瞳を逸らす。





京楽の心は沈んだ。

同時にわき起こる怒り。





「一護ちゃん、誰に言われたの?」


至極優しく、これ以上不安を、悲しみを煽らないように、笑顔で問い掛けた。






何を言われたのかは、京楽にとっての問題じゃない。








誰が、大切な一護を悲しませたのか…全てはそこに在った。



「……大丈夫です、京楽隊長…何でもないですから」





笑顔を無理矢理作って、ボクに向ける。







泣きそうになった…。








こんなに大好きなのに





こんなにも愛しているのに






護らせてくれないの?






「一護ちゃん………ッ?!」





また瞳を伏せてしまった一護が悲しくて目を細めれば、写ったのは震える拳。






必死に耐えるために硬くにぎりしめられた手。







「大丈夫だよ、一護」






その手を持ち上げると、同時に上げられた頭。


涙の滲み出した瞳に、そっと口付ける。





「大丈夫だよ」







「っ……オレ、春水さんに……春水さんに迷惑…かけてるって……。……春水さん…優しいから……あまえ…」






ボロボロと溢れる涙と共に、胸のうちに押し込んでいた不安を吐き出していく。






「ふぇ…オレ、こどもだから…きづかなくて…」




「一護……」



まったくこの子は…。
言われた言葉よりも、ボクのことを考えて落ち込んでいたなんて…本当に、なんて愛しいのだろう。





「ごめんなさい……ごめん、春水さん…っ」




「迷惑なんて思ってないよ」





ボクの胸に縋り付き謝りだした一護を抱きしめて、その耳元で囁く。



「もっと甘えても良いんだよ」





その方が、嬉しいのだから。





「……ほんとうに?」


「もちろんだよ」



見上げてきた一護の目尻に溜まった涙を指で拭い取り、笑顔を見せてあげた。






「もっと甘えてくれないと、ボクは寂しくて泣いちゃうよォ?」





少しふざけた言い方をすれば、「バーカ」と笑みを浮かべて言う。









君を守るためなら、何を投げ出しても構わない。

君がいれば何もいらない



それくらい愛してる













「ところで、春水さん……隊首会は?」



「あっ…アハハ、忘れてたァ〜」







後日、総隊長からきつくお叱りの言葉を受けることになった。


〜オマケ?〜



「おんやァ、久しぶりだねェ?」





待ち伏せして、その人物が来るのを待っていたと言うのに、わざとらしく偶然を装った。





「……………僕の一護ちゃんにくだらないことを言って悲しませたの、君だよね?」





冷ややかな視線で問い掛ける。
いつもの、おちゃらけた様子は微塵も無い。







「許さないよ」





予告なしに解放された斬魄刀。
強い霊圧によって当てられた多数の死神。
壊された建物。






またしても後日

総隊長からキツい説教とともに一週間の一護禁止令を発令され、さすがに落ち込んだ京楽の姿が見られた。








後書き

京一で溺愛…溺愛になってますか?
【溺愛】
盲目的な愛情
むやみに可愛がること

意外に難しかったですι
百瀬様
こんなものでよかったら貰ってやって下さい。
リクエストありがとうございました。



第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!