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少年よ、大志を抱け!
今日の俺の運勢は最悪だ。占いを見たわけではないがいいことなんかいつも以上にない。普段もパシリやら娯楽を奪われるなどで不条理きまわりないが特に今日はひどかった気がする

朝はなつかれてるはずの犬に吠えられ追いかけられ土手に転がり川に落ちた。そのあとによくわかんないリアカーがお住まいのおじさんからそこらへんで拾ったらしいジャージを貸してもらい(ってこれ俺のじゃん!沖田さんに盗まれたまま行方不明だったのに!)ダッシュで学校に向かった。一生懸命走ったのに先生にはジャージで来るとかなめてんのかとなぜか廊下に立たされた。極めつけは体育の時にやったドッジボールだ


「山崎ィ、おまえだけ首下セーフな」

「え、どうしてですか」


沖田さんには敬語とさん付けで呼ばなければ校庭8周なのでちゃんと敬語で聞くとありえないことを言われた


「顔面以外すべてセーフ」

「それって顔面しか当てちゃだめみたいなことになってんじゃないですか!」

「しかたねェだろィ。それ以外いい案が思い付かなかったんだから」

「あるでしょ!普通顔面セーフでしょ!」

「それじゃおもしろくないだろィ、俺が」

「でしょうね!」


必死に言葉で抵抗をしてみるも沖田さんは聞き耳を立ててくれなくて神楽ちゃんと最凶コンビを組んで二つのボールで猛攻撃。土方さんと近藤さんは黙って見てるだけだし松平先生は感心感心とうなずいている。要するに今日の俺には一人の味方もなしだ。それでちょっとよそ見をしたら顔面に見事ボールが命中した。ついてないことに神楽ちゃんの球だ。俺はサッカーゴールまで吹っ飛び一緒に飛びそうになった意識をなんとか保って、保健室に行ってきますとこれ以上の難を逃れようとよろよろと立ち上がり校庭を出た


まったく、どうしたというのだいったい今日は。ついてない。マジでついてない。顔痛いし、これから放課後までまだなにかあるかもしれないと思うとやっていけない。早退しようかな


とりあえず保健室に入り、鏡で傷の具合を見る。唇切れてるし頬も腫れるだろうなァこれ。もう、泣いていいかな。そう涙ぐんでいると保健室の扉がばんっと開いた

長い黒髪に頬に傷を負った美少女が立っていた。びっくりして呆けていると、待てやコルァァァと巻き舌がすごい怒鳴り声が聞こえた。すると美少女は急いで保健室の扉と鍵を閉め、俺の胸ぐらをつかんでベッドに投げた。投げたァァァ!怪力!強力!なになになになにと叫ぶとうるさい黙れと顔をグーパンチされた、か、軽く脳震盪


「いいか、今から一言でもしゃべったら…舌を引っこ抜く」


ひいいいいと心の中で叫び必死に首を縦に振った。すると美少女も一緒のベッドに入り、布団をかぶってきて俺はまたひいいいと心中で叫んだ

すぐさまその焦りは保健室の扉をばんばんと叩く音で別の焦りへと変わったのだが、なにをしたんだこの子!


「開ーけーろーやァァァ」


なんか足で扉ガンガン蹴ってる音が聞こえるんですけどォォ!ものっすごく怖い!心臓がめちゃくちゃばくばくしている。すると美少女は俺のばくばくに気付いたのか目を合わせたかと思うと手で目を隠された。彼女の手は冷たくて柔らかくて妙に落ち着いたなんてマジで俺変態か!


「大丈夫だ」

「…」

「…行ったな」


そう言うと彼女は布団をあげてベッドからおりた。俺はというとまだ固まったまま


「迷惑をかけたな」

「ちょ、頬の手当てしなきゃ!」

「痛くない」

「女の子なんだから顔に傷が残ったら大変だよ」

「変な奴だな」


普通に窓から出ていこうとする彼女を見て起き上がり無理やりイスに座らせ消毒液で手当てをする。肌!肌キレイ!


「…なんで追われてたの?」

「告白を断って去ろうとしたらしつこく迫るので蹴ってやったら追いかけてきた」

「…ふ、ふーん。殴られたのコレ」

「転んだ」

「…ほ、ほーお」

「おまえはあの男よりひ弱な感じがするな」

「そう言う君はたくましいね」

「そうか」


ふふふと笑う彼女はすごく綺麗でまた心臓がばくばくし出した


「名前はなんて言うんだ」

「俺?山崎退」

「さがる?」

「そ、最初から人生下がり気味な名前でしょ」

「いい名前じゃないか、バザール」

「違う、それ違う」


冗談だと真顔で言い張るこの子はちょっと変わってるのかもしれないと思った。傷の手当てを終えると今度は彼女が俺の手当てをしてくれた。なんだこのご褒美みたいなことは!嬉しすぎる!と思ったら手当てはかなり乱暴だった。ま、そんなもんだよね…


「さがる、おまえ弱いだろう」

「…強くはないよね」

「いつも良いようにこき使われてるよな。悔しいとは思わないのか」

「弱肉強食だし」

「なら強くなればいい」

「そう簡単にはね〜」

「私が強くしてやる」


くっついてなかなか放れないバンソウコウに苦戦していると立ち上がった彼女が俺に人差し指を向けて言い放った。わけもわからずびっくりしながらよろしくお願いしますとどもって言うとまた笑顔になった

頬が赤く染まる
もしかすると今日はとてつもなくラッキーデイかもしれないと俺は思った


次の日に彼女から屋上からバンジージャンプと告げられる前までは







「山崎があの美女怪力女に肉体強化をしてもらってるらしいでさァ」

「あの通称『野獣に育てられた美女』が山崎を?」

「あ〜あ。なむさん」



(恭さまに捧げます。なんか3Zオールキャラじゃない気もしますが…しかも主人公おかしい!すみませんこんなのでよろしかったらもらってやってください。キリリクありがとうございました!)




あきゅろす。
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