DON'T CRY
泣かないで。
どうか、泣かないで。
僕まで…
悲しくなってしまうから。
【DON'T CRY】
『タスケテ』
今日も聞こえるアクマの叫び。
『タスケテ』
目を閉じても見える、救いを求めて伸ばされる手。
『愛してる。アレン』
―――愛しい左目の傷跡が痛んだ気がした。
だから僕はアクマを壊すんだ。
「哀れなアクマに魂の救済を…!」
***
アレン達は任務でイギリスに来ていた。
綺麗な町並みには、凄まじいまでの戦場痕が残っている。
たった今もアクマを倒したところだ。
「…アクマ、最近多いね。」
「そうですね…」
事情を知らない一般市民の人目を避けるように、裏路地で団服を整えるアレンと***。
***はアレンよりもエクソシスト歴が3年ほど長く、近頃のアクマは可笑しいと呟いていた。
そして何やらゴーレムで連絡を取っていた。
「***」
名前を呼んでも彼女は気付くことなく、それは空に儚くも消えていった。
アレンはレンガの壁を背にして座り込んだ。
―――怖い
もし…
君がこの言葉のように消えてしまったら。
アクマに傷つけられてしまったら。
僕はまた同じ過ちを繰り返すかもしれない
大切な人をアクマに―――
「アレン。」
***はアレンを呼んだ。
けれど彼からの応答はなく、不思議に思って近付くと裂かれた団服には血痕が。
「っ怪我してるじゃない!!なんで言わなかったの!?」
***はアレンに怒鳴ったが、彼の異変に気付き、顔が見えるようにしゃがみ込む。
顔を膝に埋めて、肩を腕で抱きとめて...
震えていた。
「アレン…?」
「嫌なんだ…だけど僕はっ!」
***が傷付けられるのは嫌なのに
僕はそれを理由にアクマを壊せない。
僕は…
アクマを愛しているから。
彼らの悲愴なまでの叫びが聞こえてしまうから。
だから
救いたい。
でなければ、マナを壊したことに何の意味がある?
救いでなければダメなんだ。
破壊だけじゃだめなんだ。
「僕は…人間もアクマも愛しているんです…」
「……。」
「マナが僕を愛してくれたから…アクマの魂が見えるから…だからっ」
声を荒げてアクマを愛していると言うアレン。
それほどまでに追い詰められていたんだ…
「いいよ。いいんだよ。アレン。」
「***っ」
***はアレンが次の言葉を紡ぐ前に、アレンを抱きしめた。
そして、子供をあやすような手つきでやさしく頭を撫ぜた。
ゆっくりゆっくり、乱れた呼吸が静かになってゆく。
「独りで背負わなくていいんだよ。アクマを愛したって、救いたいって思っていいんだから。」
その言葉を聞いて安心したのか、アレンは***の腕の中で大人しくなった。
撫でてくれていた手を止めて、やんわりと抱きしめ返す。
人間もアクマも
愛していると言う僕だけれど
君は僕を受け入れてくれた
だから今度は僕が君を受け止めたい
だいすきなきみを。
「***…僕は君も救いたい、です…」
きつく、きつく、抱きしめる。
離さないように
離れないように
―――壊れないように。
聞こえない叫び声と見えない涙が零れた。
泣かないで
泣かないで
僕のために泣かないで
僕の為と言うのなら
―――笑って?
End
あとがき!
初のDグレ夢でした。
なんだか原作読んでると自然とシリアスに進みたくなってしまいます^^;
アレン夢難しいなぁー
甘いの書きたいです。
2007.03
[小説ナビ|小説大賞]
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