スレツナ暴走劇 連載中
『裏・表』
沢田綱吉は風呂からあがり、今は体をタオルで拭いている。
俺はというと物影に隠れて観察続行だ。
六道骸との一件で、沢田綱吉から黒いオーラがわんわんと出ている。
こんなに殺気を出すなんてさっきの一件で相当お怒りのようだ・・・・・・・・。
六道骸はというと、湯舟にプカプカと、うつ伏せの状態で浮いている。
そりゃあそうか。あんだけクリーンヒットしたのに生きていたほうがおかしいか。
・・・・というか本当、お前誰だよ。こんな事、沢田綱吉はしないと思っていたのに。
予想外な事続きで、俺はどうしようもなかった。
沢田綱吉が出て行くのを確認し、俺はまた、後ろに廻っていた鞄の中を探る。
・・・・まさか、コレを使う時が来るとはー・・・・
取り出したのは一着の全身タイツ。これもヴェルデからの借り物で、『光学迷彩』と言うらしい。(リボーンの標的53より)
これを着れば誰も俺の姿が見えなくなる優れものだ。
さっきの六道骸の件といい、沢田綱吉は狂暴だと理解した俺はこのまま観察を続けると確実に殺される危険性が高い。
しかし、これを着ればなんとか生きて帰れるだろうと思ったのだ。
・・・・ん?じゃあ何故最初のうちから着ていなかったのかって?
それは、このスーツを着るのを極力避けていたからだ。
これはヴェルデからの借り物であって、決して俺のではない。だから壊したりなどは絶対に許せられないのだ。
もし壊したりなどしたら、きっと桁違いの料金を迫られるだろうなー・・・・。
言わばこれは最終兵器みたいな物だ。
俺はササッとそれに着替えて、沢田綱吉の観察を続行する。
「お風呂上がったよぉ〜!」
沢田綱吉は沢田母にそう告げた。
高らかで元気の良い声が響かせ、リビングに入っていく。
その声を聞いた沢田母は片手にしゃもじを持って振り向き、ニッコリと穏やかな笑顔を返した。
周りにお花がホワホワと飛んでいるような光景だ。
あぁ、これは正に「平和」という言葉がピッタリだ。こんなほのぼのとした家庭がこんな身近にあったなんて・・・・。
俺は太陽の下で日向ぼっこをしているような心地好い気分になった。
・・・・って、ダメじゃん!!
気をしっかり持て!スカルッ!こんなところで和んでんじゃねぇよッ!!
今はあくまで仕事中。集中しないでどうするッ!?
自分にそう言い聞かせて両頬をパンパンッと手で思いっきり叩いた。その行動で先程見えていた錯覚を解き、集中力を取り戻した。
沢田家はこんな強力な幻覚も作りだせるというのか。
あのパイナップルがいなくてもやっていけるのではないか?
しかしーー・・・・・・
(・・・・なんて恐ろしい次期ボスだろうかーー・・・・)
今は平然と笑顔を見せる沢田綱吉だが先程からの行動を見てきた俺には恐ろしく見える。
あんな事をしていたというのに何故そう簡単に幸せそうな笑顔を作り出せるのか分からない。
・・・・貴様はロボットかッ!!
実は人間じゃなくて宇宙を支配する為に未来から来たロボットだろうッ!!
絶対そうだッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。
何俺どうしたの?
沢田家に乗り込んでから俺、どうしちゃったの?
何でこんな電波な話が出てきたんだろう・・・・。
何だかもう疲れた・・・・。
綱吉の観察って意外としんどいんだね・・・・。
大きな溜め息を一つ吐く。
俺は全身から力が失い、気力だけで重たい体を動かした。
リビングの窓際のほうへとヨロヨロと進み、そのままバタリッと床に倒れた。
床は窓際ということもありヒンヤリとしていて気持ちが良い。
・・・・うん、俺今まで頑張ったよね。だから少しだけ休んでもバチは当たらないよね、うん。
そう思い、俺の瞼はどんどん重たくなっていく。
しかし、今この状況で寝たのが間違いだった。
いくら眠くても敵陣にいる事を忘れてはいけなかった。
俺は不覚にもスーツを当てにしすぎてしまったのだ。
後で後悔することを知らず、俺は深い眠りについた。
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この後、スカルの身に何がッ!
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