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逆転




 男にストーカーをされていることには気づいていた。どこぞの変わり者が、俺を気に入っているらしい。だが別段、今までに実質的な被害はない。稚拙な尾行と、汚らしい手紙を幾通か送ってきた以外は、何もないのだ。襲おうとすらしないのだから、目的が明確に分からない。いっそのこと、堂々と本能のままに動いてみてほしいものだ。
 男は、今日も今日とて俺を尾行する。昨日、大学から帰宅するとまた手紙が届いていた。消印のない手紙は、週に一度ほどポストに入っている。気持ち悪さよりも、好かれていることへの心地よさが先立つのが、自分でも不思議なのだ。仕方なく他の郵便物とともに手に持ち家に入る。すると、入った瞬間、頭部に鈍い痛みを覚えた。ぐらりと揺れる視界が、やけに鮮明だった。玄関は、未だ開いたまま、ひとりの男がそこには立っていた。

 目が覚めると、そこは俺の部屋だった。どうやらベッドの上で後ろ手に縛られているらしい。ふと部屋を見ると、ひとり、男が鎮座していた。
「あっ」
 俺と目が合った男は、しどろもどろしながら、ゆっくりと近づいてきた。男は四十近くだろうか。無精ひげが目立つ。働いていないわけではなさそうなのが、男の身なりで分かる。スーツはきちんと仕立てられているものだし、シャツは清潔そうで、何より石けんの匂いがかすかにする。一言で言うなら熊のようなその男は、俺の目の前でまた座った。
「はあ、さっ、聡くん、いい匂いだねえ。可愛いっ、顔、はあ、も、やば」
 男は興奮しているのか、一人で自らの猛ったモノを触りだした。スーツごしに揉まれる男のそこは、はちきれんばかりに主張している。
「あっ、きっとっ、下のお口も可愛いんだろうなあっ! はやく、聡くんのなかに入りたいなあっ」
 男が興奮している間に、俺は静かに起き上がっていた。男はそれにすら気づかず、一心不乱にモノを弄んでいる。とんだヘンタイだ。男が俺の足を舐めだしたので、俺はしばらくそのままさせておいた。舐めている姿が滑稽で面白いからだ。触らずともぴんと山をつくる男のそこは、少しだけ大きかった。
 足を舐めることに夢中の男を、俺は蹴飛ばした。体格的には男の方が明らかに勝っているのだが、男はだいぶ後ろに吹っ飛んだ。すでに縄抜けを終えた腕をぶらぶらと男に見せると、男の顔色が一気に青ざめていった。
「おびえなくていーよ別に。仕方ないからやらしてあげるし」
 意味が理解できないとでもいうような表情の男に、俺は棚の中のとあるものを渡した。
「えっ? はあっ、さ、聡くんっ? こっ、これっ! なに、これ」
 逃げようとする男の首根っこを捕まえ、素早く男を縛り上げる。簡単には抜けられないはずだ。
「特別にてめーの下のお口にいいものをくれてやる」
 ふと男の中心を見る。そこはしぼむどころか、ますます期待がふくらんでいるようだった。男を蔑んだ目で見やると、男は顔を赤くさせた。だが、まさかぶち込まれるとは思っていなかったようで、赤くなった顔で必死に懇願してくる。
「ごっ、ごめっなさ、すみませ、あああの、本当は、顔見てっ、しごくだけのはずだったんです」
「……なあ、俺がバイだって分かってて尾け回してたんだろ?」
「えっ? えっ、ちが、ちがいます。そんなことわからなか、った、んです」
 幸い、俺は男はガタイ専だ。しばらくご無沙汰だったので、思わぬ性欲処理道具の出現は嬉しい。だが、俺を殴った挙げ句に縛るという屈辱を味わわせてくれた熊に、容赦はしない。未だに逃げようともがく男をがっしり捕まえ、スラックスを手際よく脱がしていく。男のパンツは期待に濡れていた。
「ボクサーか。よく俺の好み分かってんな。もっとエロいのかと思ったけど……大いに結構」
 にこりと笑うと、男は股間をぴくりと動かした。


 散々揺さぶった後、まだ男は達していなかったが、俺は構わずイチモツを抜いた。男は嫌だ嫌だとかぶりを振っていたわりに、いざ抜かれると、名残惜しそうにこちらを見てきた。だが俺は気にしない。だいたい、舞い込んできた性欲処理道具だ。
「松川さんって言うんだ。処女だった?」
「……」
「答えろよ」
「そ、うです」
「もしかしていれたこともない?」
「……はい」
「はっ、マジで? その歳で?」
 なじられ、松川は気まずそうに俯いた。ああ、人を辱めるのは楽しい。
「俺さ、動画とってたんだよね」
 俺の一言に、松川はびくりと肩を揺らした。
「これから俺が好きなときに呼び出す。仕事中は控えるが、呼び出しに応じなかったときは分かってんだろうな」
 松川は、期待と困惑の目で、頷いた。




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