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収容施設2
※軽く切断有り




 義弟は、妹と離婚したらしい。俺のせいだという。俺が彼を狂わせたらしい。俺を引き取りにきた義弟は、最初に会ったときと変わらず、温厚そうな表情を浮かべていた。しかしその顔の奥には悪魔が潜んでいる。それも凶暴な。
 車に乗せられた道すがら、俺はどうせなら、殺してくれないかと考えていた。収容施設では快楽を叩き込まれたし、いわゆるそういう体質になったことは確かだ。人間の神経はすごい。そうなれるのだと感動すらした。俺はおそらく淫らな行為無しで生きてはいけない。しかし、それはこの先もずっと生きていくなら、の話だ。俺にそんな気はさらさらない。だが、やはりよく考えてみると自分で死ぬのは怖かった。馬鹿になりきるという勇気がいる。俺にはそんな勇気はない。どうせ義弟は狂っちまったらしいから、近いうちに俺を殺してくれることをひたすら願うしかない。
 収容施設では実にバラエティーに富んだ奉仕の方法を叩き込まれた。上手どころではなく、鬼みたいなもの凄い口の使い方。直接ではない素股の素股らしい動作。足にいたってはつりまくった。今ではマスターしたのでつらない。手技は様々に、それこそ前立腺責めなんてものも教わった。様々な体位でのよろこばせ方。淫らな言葉も嫌というほど言わされた。ぶち込まれ続けても緩くならないような訓練。SMやもっと特殊な嗜好のものも覚えさせられた。俺には全てがどうでもよかった。
「僕のことは隆人でいいよ。次郎さんは自由にしてくれていい。でも僕以外を見ちゃだめだよ。そうなれば僕は何をするか分からないからね」
 温厚そうな隆人くん。見かけによらず金持ちだ。だから恵子も目をつけた。なのに離婚してしまうなんて。世の中どう転ぶか分からない。

 隆人くんはやはりというか、セックスが激しかった。しかし上手だ。前立腺を的確に責めてくる。しかも見かけによらず体力がある。セックスは楽しい。気持ちがいい。だが、相も変わらず俺は死にたかった。
 なので俺はとあることを行動に起こそうと決めた。浮気だ。俺と浮気してくれる変わり者も、この広い世界の中、誰かしらはいるだろう。俺は早く死にたい。もう面倒くさい。


 浮気はすぐにばれた。ばれるようにやったので当然といえば当然なのだが、それにしては早かった。もしかしたら発信機か何かを、身体のどこかに埋め込まれているのかもしれない。隆人くんは激怒した。そりゃそうなるわな、とのんきに考えている俺を後目に、隆人くんは静かに恐ろしいことを行っていた。
 俺の浮気相手が、行方不明らしい。事実上、死んでいるらしい。隆人くんがそう言っているのだから多分間違いはない。俺をいきなり性奴隷に仕立てるため、収容施設にぶち込んだぐらいぶっ飛んでいるのだから、納得はいく。人一人死んでも、俺は心に響かなかった。それが浮気相手でも、だ。
 今回のことで分かったことがある。隆人くんには浮気は通じない。彼は恋人よりも浮気相手に怒りを覚えるタイプらしい。そしてもう一つ。俺は死ねそうにない。何故なら、四肢切断されてしまったからだ。自殺すらできなくなってしまった。彼は絶対に俺を殺さない。感極まったら、切腹するタイプだろうことは一連の動きで確認済みだ。もし切腹でもされたら、俺は餓死しなくてはならなくなる。餓死は嫌だ。苦しい。でも、ああ、死にたい。



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