何と無く日常に 大学教授の仕事というのは机の前に立って学生達に学問を教えるだけではない。 それは大学教授の仕事の二割ぐらいしかならず、殆どは研究、研究。 そもそも大学とは研究する場所であり日々教授も学生も研究に勤しみ、そして結果をまとめ論文にし発表をする。 エルシャール・レイトンも変わりはなかった。 現地に行き研究をし集めた文献やら資料などをまとめあげ論文を作成し学会に発表する。 それが日常だった。 まあ、謎を求めてたまに全てをほったらかして冒険しに行ってしまう事もあるが普段は研究に勤しんでいる。 しかし、最近もう一つ日常に成りつつある事があった。 それはあの謎の仮面の男、デスコールと一緒に紅茶を飲みつつ話すという事だ。 敵と言いつつもよく夜中にレイトンの研究室に訪れレイトンと紅茶を飲み交わしながら会話を楽しんでいるという光景が頻繁に見れる様になった。 まあ、よく来ると言ってもデスコールの気まぐれで研究室に訪れるので例えるならば猫の様だ。 レイトン自身は彼と話をして有意義かつ楽しいと思っているが、デスコール自身どう思っているか定かではない。 つい数週間前何気なく聞いてみたら、 「敵を知らなくては何も始まらない」 といつもの笑みを浮かべながら答えていた。 彼らしい答えに、その時レイトンは思わず苦笑してしまった。 しかし、時折彼もレイトンと話すのを本気で楽しんでいると感じる時もあるので半分嘘、半分本当なのであろう。 そんな彼の為に、今日も新しい紅茶の葉を用意し窓の鍵を開けて置いたレイトンは作業机に向かいながらふと思った。 彼が気まぐれな猫の様だったのなら、自分はその気まぐれな猫を餌を用意して待つ飼い主の様ではないかと…。 そう思うと自然に笑みがこぼれてきてしまう。 どっちもどっちだなと思いながら時計を見る。 0時5分前…。 レイトンは紅茶用のお湯を沸かす準備をするために席を立った。 猫舌の彼が現れる頃には紅茶も良い具合になっているだろう。 「御機嫌よう、レイトン」 「やあ、デスコール。今日はどうしたんだい?」 「今日は、得に何も無い」 おや? 今日はいつもと違うみたい。 END 20101221 |