[携帯モード] [URL送信]
That's none of your business.

「ゴホ、ゴホッ…!」
「…風邪か?」
「…最近、寒い日が続いたからね」

季節の変わり目、それは最も風邪が引きやすい時期。
少し油断するとすぐ風邪を引いてしまう。
今月に入ってからロンドンの町並みにもマスクを付けてる人を見かけるようになった。
とうのレイトンもその一人。

「英国紳士も風邪を引くのだな」
「英国紳士である前に人間だから、ね?…ゴホ」

今日も変わらず窓から入って来たデスコールの掛けた言葉に若干疑問を覚えた。

彼の中での英国紳士は風邪を引かないのが一般常識なのだろうか…?

そんな事を思いつつも彼に座る所を提供すべくソファーをすすめる。
そして日常化し始めている台詞を口にした。

「紅茶は飲むかい?外は寒かっただろう」

しかし、デスコールはソファーに座るように奨めても窓際から移動しようとする気配はなかった。

「嫌、いい」
「…そうか?」
「今日は用事があるからな、もう行く…」

彼から返って来たのは遠慮の言葉。
だったら何故わざわざ此処に来たんだと思いつつ分かったと言い、自分の紅茶だけでも入れようと背を向けた。
気配でデスコールは本当に帰ろうとしているようだ。
しかし、次の物音で疑問を抱いてしまった。

カチャ

何かの食器がぶつかり合う音。
レイトンの耳には聞き慣れた物音で…

「邪魔したな」

振り返るともう既にデスコールは窓の縁に足を掛けていてレイトンが声を掛ける隙もなく外の世界へ消えて行ってしまった。
ふと、視線を机に向けると置いてあるカップにまだ一口分あった紅茶が無くなっていた。















「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
「…大丈夫かい?デスコール」

数日後、風邪を拗らして咳が止まらないデスコールが研究室にいた。

「大丈夫、ゴホ、ではないゴホッ!」

ゴホゴホと辛そうに話す彼を苦笑しながらレイトンは言った。

「君、免疫力弱いね」
「ゴホッ、大きなお世話だ!」


END

20100917



あきゅろす。
無料HPエムペ!