猫の手を使おう 「教授、これは捨てますか?」 「それは、捨てないよ。その箱に入れといてくれ」 「先生、このアヒルちゃんいりませんよね!」 「いらなくないよ。後でしまうからそこに置いといてくれ、ってレミそれは捨てては駄目だ」 レイトン教授の研究室は、今凄いことになっていた。 「二人とも、研究室の物を全部捨てる気かい?」 「教授、今私達は掃除をしているんです。片付けではありません」 「まだ、一個も捨ててませんよ」 大掃除、年に一度グレッセンヘラーカレッジで行われるちょっとした行事だ。 「しかし、私にとって全て必要な物なんだよ」 「「それじゃ前と変わらないじゃないですか!」」 「…二人して口を揃えなくても」 レイトンは、帽子の鍔を持って目元に下げる。レミとルークは、そんなレイトンを無視しテキパキと掃除をして行く。二人の慣れた手つきに苦笑して、自分は机を片付けようと足を向けたが直ぐにその足は止まった。 「なんだ、片付けでもしているのか?」 窓からの不法侵入者、面倒臭いのが来た、と英国紳士らしからぬ事を思いながら一応挨拶はする。 「やあ、デスコール。そこは、人が出入りする所じゃないよ」 「こんな忙しい時に来ないで下さいよ」 レミは、呆れた様に言う。 「そうか、忙しいなら仕方がない。今日は帰る」 「ちょっと待って下さい!」 ルークは、帰ろうとするデスコールのマントを掴むそうすると必然的に彼の首は閉まるわけで、 「ぐぇ」 デスコールは、そのまま後ろに思いっ切り倒れた。倒れた勢いで頭を強打し若干涙目になりつつもマントを引っ張った本人に怒ろうとすると、 「どうせ暇だったから此処に来たんでしょ。だったら、手伝わせましょうよ!」 「はぁ!?何故、そうなる!」 「ルーク君、ナイス!教授も、賛成ですよね」 「そうだね。人数が多い方が片付けも早く終わるしね」 「教授、片付けじゃなくて掃除です」 「や、嫌だ!私は帰る!!」 三人してマントを掴み逃げられないようにし、デスコールに段々と近づく。笑顔が若干怖い様に見えるのは気のせいではないだろう。デスコールの抵抗も虚しく結局最後までこき使わされたのだった。 その日、レイトン教授の研究室はいつも以上に賑やかであったという。 END 20100719 |