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Raska

――愛など知らない

そんなことない

――知らないものは知らない

知らないなんて事はないよ、君が覚えていないだけ

――ハッ、君は私の過去など知らないだろ

知らないよ

――ならば何故そんなことを言う

君に一つ言いたい事がある

――何だ

愛を知らなかったら今此処に君はいない

――どういう意味なのか全く理解出来ないのだが

昔ね、ある国の王様が家臣に命令をしたんだ

――は…?

命令の内容は、産まれたばかりの赤子とその母親を引き離し、取り上げた赤子たちを部屋に隔離させろと

――…

隔離した赤子たちにはちゃんと毛布でくるまれミルクも与えられていた、数日後その子たちはどうなってたと思う?

――…学問的に考えれば赤子たちに不自由はない。現状は変わらないだろ

つまり君はその子たちは生きているという考えなんだね

――そうだ

ふむ、それがね。赤子たちは全員死んでしまったんだ

――何故だ。君は言ったではないか、赤子に必要な毛布やミルクを与えてたと。食と睡眠しか能がない赤子にそれ以上何が必要というのだ

話を元に戻そうか。君は愛を知らないと言ったね

――最初に言ったさ

さっきの話しを此処に持って来ると、君は此処に存在しないことになる。君は死んでしまっているんだ

――ふざけた事を言うな。今の話しと全く関係ないではないか

大いに関係しているよ。赤子たちに生きる上で必要な物をきちんと与えたのに何故死んでしまったのか。それはね、赤子たちには一番必要な物を与えていなかったんだ。

――何だと言うのだ

愛さ

――はぁ、レイt

愛が必要だったんだよ。母親の肌の温もり、家族からの愛情、これを与えなかったら赤子は死んでしまうんだ。

――…君の言いたい事は分かった。しかしだな、そんな話は私は信じない

デスk

――私は知らない。家族からの愛情など、ましては母親の温もりなど。私は何時でも一人きりだった。誰も相手にしてくれず、私に見向きもしない。まるで存在しないかのようにだ

そんなことない。知らないんじゃない、覚えていないだけだ。デスコール、君の近くに居た筈だよ。一人ぼっちにさせなかった人が、君を愛してくれた人が。

――うるさい!貴様に何が分かると言うのだ。私の何がっ

デスコール

――っ、触るな(嗚呼、この温もり私は知って、いる?)

デスコール

――離せ。触れるなと言っているだろう!(よせ、それ以上いくと壊れてしまいそうだ)

…ジャン

――ッ…、(一人ぼっちの部屋、本当に私は一人ぼっちだった、か?)

"ジャン坊っちゃま"

――(!?…嗚呼、思い出した。ただ一人私に愛情を注いでくれた人物を)
















(レイモンド)
(案外君の近くにいるかもしれないよ)

END

結局まとまらなかったから終了。
まあ、デスコールは過去はあんまり良い記憶無さそうだなって思って、愛など知らないって言わせただけなんですが。
だけど執事さんが陰ながら愛情を注いでいたらいいなぁと、旦那様は気づきませんでしたけどね。

raska:オランダ語で愛

20110513



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