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Au Revoir

寒い夜の風が窓から入ってくる部屋に何時から始まったのかわからない二人の時間が終わろうとしていた。
窓を開け、今まさに縁に足を掛け出で行こうとする彼に部屋の持ち主はさらりと次回の約束を口にした。

「次来た時はキスでもしよう」

キスでもしようか、窓から出で行こうとした彼、デスコールは思わず両足を掛けた場所から外に落ちそうになった。
言った奴の真意が解らず先程までお茶をしてそれなりに楽しんでいた部屋の中を首を捻って見た。
そこには、当たり前のように部屋の主レイトンが居て、飲み終わったカップを片付けようとしていたのか両手の塞がった状態でソファーの近くで立っていた。
仮面の下でデスコールは眉間に皺を寄せ、何を考えているんだこいつは、と思いとりあえず彼を睨んでおくことにした。
レイトンはというと、明らかに嫌悪感丸出しにしたデスコールの態度に差して気にする風もなくにっこりと英国紳士風情をしている。
こちらが黙って見ていても彼は答える気は無いようだった。
仕方なくデスコールは彼に一言言うことにした。

「レイトン、貴様の言っている意味が解らんぞ」
「意味…?次君が訪れる時の約束に意味なんているのかい?」

かくりと首を傾げたレイトンにデスコールは呆れたというより言葉に詰まってしまった。
キス、はこの際気にする事を排除することにした彼は考えた。
自分がまた此処に来る事を何故この男が決める?
別に今回が最後にするつもりはさらさらないが、もしかしたらもう二度と此処に訪れなくなるかもしれないのに、何故この男は自分は来ると決める?
デスコールは今思った事を口にすることにした。

「愚問だな、エルシャール・レイトン。次、私が君の部屋に訪れる事など無いかもしないのだぞ?」
「ふふ、君は絶対また来るよ」

笑う男に何が根拠でそんな事が言えるんだと思ってしまった。

レイトンはというと、片付け様と手にしていた食器をまたソファーの前に置いていた。
そしてすっかり考え混んでしまったデスコールに近づくと彼の右手をそっと掴み引き寄せた。

「何をする」

理解出来ない行動と気づかない内にレイトンが近くに居たという状況にスコールは一瞬怯んだが直ぐに立ち直り真っ直ぐに顔を合わせ問いた。
彼は小さな瞳を欝すらと閉じデスコールの手を持ち上げ顔の近くまで持ってきていた。

「次来た時はキスでもしよう。約束なんだから君は絶対に来る」

そのままデスコールの手の甲に唇をつけた。
最後に、君は絶対に約束事は破らないから、ねと。



ちょっと甘い約束いかが?

(君がまた訪れる事が出来るように今は愛しい君の手にキスを)


END

あれ、なんかギャグにしようと思ったのにほのぼのになってしまった…?

Au Revoir:フランス語で「また逢おう」

20110322



あきゅろす。
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