Dream
とんだ偽善者(BSR3/男主/家康/生温い微裏)
どんっと背中に鈍い痛みが走り、視界に家の天井と幼なじみの家康の顔が映った。

「…っ、好きだ」

昔から女のように凛としてきれいな顔だと言われた。だから、よく男や先生に襲われる。けれど、親友だと思っていたやつにされるのはまた別だ。…なぜそんな苦しそうな顔をする。なぜ、

無理に笑う。

「俺はお前を友達としか見れない。離れろ」

服に手がかかる。丁重にボタンが外されていく。俺は自分から家康の手を触れようとしない。

「嫌なら拒絶すればいいだろう」

開いた胸元は蛍光灯で白く反射する。ガッと肩口を噛まれた。爛々とする眼光に俺は光を映さない闇のように見つめ返した。

「抵抗すれば、お前は酷くするだろ。家康、お前の良心は痛まないか?」

「お前はズルい。ワシを思うふりをして自らを守ろうとする」

フッと軽蔑を含んだ笑いが漏れた。深く沈んだ青が体の中で重力に従って、表皮上で淀んでる。

「お前は俺に何を望んでいる?愛か?欲か?心か?体か?快楽か?」

家康の手は鉛のように鈍く、やがて重さに耐えきれず動かなくなっていた。

「なぜ拒絶しない。酷く傷付けられれば諦めがつく。なぜ、なぜ、お前は笑うのだっ!」

「いつまで経っても、お前は家康だな。…何回経験されたと思うんだ?」

自分でもわかるほどの嫌な笑い方。…笑い方を忘れた、そう気付いても自虐的な笑い方しかできない。自分の意志が通じない世界で、泣いても喚いても抵抗しても、自分の価値はその程度だということが嫌なほどわかる。

「…何でお前が泣くんだ?」

「…すまない、すまないっ」

その綺麗な涙が、晒け出された白い肌に落ちた。けれど、内側の穢れたものは消えなかった。



ハハハ、と乾いた笑いが部屋に響いた。にやりと弧を描き、美しい唇が開いた。



『とんだ偽善者だな』
(アイツの頭を床に叩き付けた)

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あきゅろす。
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