Dream
好きな子ほどイジメたいっていう、ね(逆検/女主/狼)
※恋芽吹くの女主
"春眠、暁を覚えず"
この気持ちはきっと二度と目覚めない
検事局一階の休憩室。春の暖かな陽射しにまぶたが少しずつ下がる。読みかけの本にしおりを差し込んで、私はゆっくりと息を吸い込んだ。
「おい。おい、寝るな」
ガクガクと乱暴に肩を揺さぶられた。目を開けると腹立つくらいのウルフが、似合わない眉間のシワを刻んで、そこにいた。
「寝てません。精神異世界を瞑想してるんです」
両手を合わせて私は目を閉じた。眠気が襲って頭がカクンと揺れた。と同時に、バッツーン!と鋭い痛みが額を突き抜けた。
「それを寝るっていうんだ」
「会いたくもないのに何の用ですか?」
いまだにツーンと響く痛みをこらえながら、私は言った。返ってくる言葉を知っていながらも。
「…検事に用事だ。とりあえず会いたくない理由を聞かせてくれるか」
「特に親しくもないのに無神経ですね」
「それだけ俺が嫌いなのか」
もちろんとにっこり作り笑いかけると、ウルフのシワが某検事の如く不釣り合いな程、似合わない上に深い。
「…検事があなたと会わない確率と同じくらいに」
高いな、とウルフがポツリと悲しそうに呟いて、馴れ馴れしく近くの椅子に座った。私は書類を軽くまとめて、ウルフに向き合った。
「で、仕事上とりあえず聞きますけど、検事様に何のご用事ですか?当然アポイントメントはお取りになっていますよね?もし、それら等がございませんなら、営業妨害として警察庁に通報させていただきます」
「対応酷くねぇか!?」
「噛まずに言ったんですから、VIP待遇ですよ」
「どんなVIP待遇だっ!!」
『好きな子ほどイジメたいっていう、ね』
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!