逆転(BL)
読めない恋文(ミツナル)

「…成歩堂」

「んー?」

「楽しいのか?」

「さぁね」

そう言いながら御剣の手のひらを広げ、シワを一つ一つなぞる。

「嫌か?」

「別に、ただくすぐったいだけだ」

ふーん、と少し楽しそうに笑い、また手のひらを弄んだ。手のひらを合わせたり、指を折り曲げると、急に手を持ち上げられた。

「御剣?」

手の甲に軽く唇が押し付けられた。上目遣いで見詰め、御剣はフッと笑った。

「……ギザなヤツ」

「…嫌か?」

別に、と手を握り返し、腕を絡めて背を寄せた。早く熱くなった頬が冷めるのを待つ。

「恥ずかしいな」

「…うるさい」

こめかみに優しいぬくもりを感じた。きゅっと手を後ろに引かれ、抱き締められた。

「言葉で言えばいいものを」

上から心地良い響きが降ってくる。
手のひらにこっそりと、"好き"の文字を書いたことに気付かれた。

「お前だって」

返事をする代わりに、手の甲に口付けをされた。見上げると、柔らかく笑う御剣がいた。

「成歩堂、」

目を閉じ、首を伸ばして唇を押し当てた。



どうか今はこのままで


左手から伝わる温もりに


僕が幸せだと感じるまで


君が幸せだと思うまで


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