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「誕生日プレゼント、何が欲しい?」



昼休みに仁王に誘われ屋上で昼食を取っている最中、唐突に尋ねられて柳は箸を止め眉を顰めた。


「何だ、藪から棒に」

「明日誕生日じゃろ?どうせなら、お前さんが欲しいモンやろうと思ってな」


そう言って柳の顔を覗き込む仁王の表情は、いつもの何を考えているのか読めないようなそれではなく、至って真剣だ。

期待を込めた目を向けられると、つい苛めたくなってしまう。
真面目に尋ねているであろう仁王に対して邪な感情を抱きつつ、柳は首を傾けて考えるフリをしてから口を開いた。


「そうやってわざわざ尋ねるという事は、俺が望む物なら何でも良いんだな?」


フッと口角を吊り上げるようにして笑えば、仁王は若干体を引いて警戒の色を露わにする。


「あ、あぁ……俺に用意出来るモンならな」


その狼狽っぷりに内心ほくそ笑みながら、柳は持っていた弁当箱を脇に置き、仁王の腕を掴んでグイッと引き寄せて耳元に唇を寄せた。



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あきゅろす。
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