[携帯モード] [URL送信]
『愛伝染』(黄火黄)



「火神くん、だいぶ敬語が上手くなりましたね」

「あ?そうか?」


メニューについて相談中。
2年生とぽつぽつ言葉を交わしていた火神に、黒子が声をかける。


「そういえばそうだな」

「いつの間にかあの変な敬語使わなくなったよな」

「あの語尾にムリヤリですます付けるヤツな」

「?そうスか?」

「あ、ホラ普通の敬語(?)だ」


アレ面白かったのにと笑う面々に、火神だけは不思議そうに眉間に皺を寄せた。


「おおよそ黄瀬くんのおかげでしょう」

「黄瀬?…って、あの海常の、『キセキの世代』の?」

「そうです。彼の口調が火神くんにうつったんじゃないですか」


ぽわん、と皆の脳裏に黄瀬本人と黄瀬の口調が浮かぶ。
その図が火神の口調と一致したようで、揃ってああ、と声を上げた。


「そういやそうだな。黄瀬の話し方そっくりだ」

「でもなんでまた?」

「学校違うし大した接点もなし…」

「だって火神くんは、黄瀬くんと最近付きぁ…っむぐ」


口を開く直前にちらと向けられた視線に火神は嫌な予感を覚え、火神は全力で話途中の黒子の口を塞いだ。
……バシッと、張り手でも喰らったような音がした。

異様に素早い火神の動きに、日向は少々引きながらも怪訝そうに首を傾げる。


「は?つき…なんだって?」

「あはははははは何言ってんだよ黒子何でもないっスよ先輩いやマジで!
 実はあの試合から黄瀬とかなり仲良くなったんスよオレ部活ない時とかもフツーに遊んだりするようになったんで!!」

「へ…へぇ、そうだったんか」

「んぐむぐもがもご(離して下さい火神くん)」


妙に汗だくで早口な火神に訝しげな視線が注がれる。
引きつった笑みを張り付けたまま、黒子の口を塞いだままの体勢で体育館の隅に移動した。


「おいテメー何を言おうとしてんだってか何でオマエが知ってんだ…!(小声)」

「火神くん単純ですし最近の言動見てればわかりますよ。
 本誌でもやけに黄瀬くんのこと解ったように語ってるじゃないですか」

「…………!んなコト言ってたかオレ…?!」


自覚ナシですか、と黒子は小さくため息をこぼす。
だがこれは人並み以上に良い自身の洞察力ゆえの悩みなのだから仕方ない。


「ええ、何だか意味深に関係性をちらちらと匂わせる程度には」

「…………………マジか」

「まぁ些細な程度でしたし、気付いたのは(腐女子センサー付きの方以外)ボクくらいじゃないですか?
 そこまで勘の鋭い方も(監督くらいしか)居ませんし、(同人界に何か変動が起こりそうですが)特に心配することもないでしょう」


唖然とした表情を見せたのはほんの束の間。
黒子の思いやりにより伏せられた言葉を知る由もない火神は、諦めたように肯定の言葉を吐いた。


「……オマエほんと人間観察好きだな」

「趣味ですから」







『 愛 伝 染 』

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

(おい黄瀬!)

(あ、ハイ!なんだ、です?)

(…オマエどうしたそれ)



end.

いつも一緒に居る=口調移りしたら萌ぇるのではないだろうかいや萌ぇる。
本誌のあの何やら思わせぶりな口調で互いを語る黄火にヤラレて突発的に書いたものです。
あれぜったい藤巻センセの策略だ…!
黄火黄スキーと腐ったおにゃのこに対する挑戦状だ…!

*Back**Next*

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!